線は、僕を描く [ 横浜流星 ]
評価:3
■ヒトコト感想
水墨画をテーマとした作品。そもそも水墨画がどういうものかはよく知らないが、本作を見てなんとなくわかった。芸術的作品ではあるが、ライブ感のある演出もできるらしい。巨大な白い半紙にその場で巨大な筆を使いながら水墨画を完成させる。確かに下書きなしで筆と墨だけで素晴らしい絵を描くのはすさまじいインパクトがある。俳優たちが筆を巧みに操作しながら描いているのだが…。
かなりダイナミックでありながら、繊細な筆運びが必要なのだろう。失敗したらすべてがおじゃんとなる状況。墨と筆なので、失敗したら修正のしようがない。水墨画に魅せられ、悲しみに包まれていた霜介の物語となっている。水墨画は身近ではないが、本作をきっかけとして水墨画に興味をもつ人がいるのかもしれない。
■ストーリー
水墨画との出会いで、止まっていた時間が動きだす。これは、喪失と再生の物語。大学生の青山霜介はアルバイト先の絵画展設営現場で運命の出会いを果たす。白と黒だけで表現された水墨画が霜介の前に色鮮やかに拡がる。深い悲しみに包まれていた霜介の世界が、変わる。巨匠・篠田湖山に声をかけられ水墨画を学び始める霜介。水墨画は筆先から生み出す「線」のみで描かれる芸術。描くのは「命」。霜介は初めての水墨画に戸惑いながらもその世界に魅了されていく――
■感想
水墨画をテーマとした物語というと、なんとなくだが老人だとか高齢者のイメージとなっている。若者とは対極にある芸術のような気がしたのだが…。水墨画業界にも当然若者はいる。水墨画の巨匠である篠田湖山が芸術的な水墨画を描く。
特に印象的なのは、立てられた巨大な白い半紙の上に、ライブで水墨画を描くシーンだ。どこまで俳優が実際に書いているのかわからないが、水墨画の醍醐味がつまっている。序盤はただ適当に筆を振っているように見えるのだが、それが徐々に形になっていくシーンは強烈だ。
湖山の弟子である女性は、自分が認められていないと考えている。対して急に湖山から弟子にならないかとスカウトされた霧介。もともとの弟子からすると、どこの馬の骨かわらかない人物が急にやってきて、湖山から寵愛をうけると気分が良いわけはない。
面倒をみてやってくれと言われるのだが…。最初のうちは仲が悪いのは当然だろう。徐々に仲良くなっていくのが物語のポイントではあるが、人気俳優が出演しているわりに、まったく恋愛要素がないというのは珍しいパターンだ。
湖山の身の回りのお世話をする雑用係のおじさんかと思っていた人物が、実は有名な水墨画家であったり、驚く要素はある。霧介をなぜスカウトしたのか。霧介の内部には家族を失ったという悲しみがあり、そこから復活するために水墨画が使われている。
水墨画の世界というのは、なかなか馴染みがないだろう。少しでもミスすれば、作品はすべて失敗となる。修正が利かないというのが水墨画の特徴だろう。下書きなく、その場で墨だけですべてを描く。かなり強烈だ。
作品が出来上がるまでの過程はすばらしい。