さかさ星 


 2025.10.3      これは呪物なのか守り神なのか 【さかさ星】


                     
さかさ星 [ 貴志祐介 ]
評価:2.5
貴志祐介おすすめランキング
■ヒトコト感想
江戸時代から続く福森家で凄惨な殺人事件が起きた。これはすべて呪物によりものだと霊能者は語る。ひたすら呪物についての説明があり、逆さにされた大黒柱の意味も語られる。過去の因縁から福森家に恨みをなす何者かの仕業ということになっているのだが…。呪物からの呪いから守るための守り神もある。それらの綱引きで今の状態が保たれている。

そこから、別の霊能者が現れ、実はこれまでの霊能者はインチキで、あべこべに守り神を呪物、呪物を守り神と説明していたと語りだす。なんだかそれまで納得していたものがすべてひっくり返されると衝撃を受ける。それだけでは終わらずに、ラストまで呪物関連の呪いと悪の元凶との対決が待っている。

■ストーリー
戦国時代から続く名家・福森家の屋敷で起きた一家惨殺事件。死体はいずれも人間離れした凄惨な手口で破壊されており、屋敷には何かの儀式を行ったかのような痕跡が残されていた。福森家と親戚関係の中村亮太は、ある理由から霊能者の賀茂禮子と共に屋敷を訪れ、事件の調査を行うことになる。賀茂によれば、福森家が収集した名宝・名品の数々が実は恐るべき呪物であり、そのいずれか一つが事件を引き起こしたという。

賀茂の話を信じきれない亮太だったが、呪物が巻き起こす超常的な事象を目にしたことで危機を感じ始める。さらに一家の生き残りの子供たちにも呪いの魔の手が……。一家を襲った真の呪物は? そして誰が何のために呪物を仕掛けたのか? 数百年続く「呪い」の恐怖を描く特級長編ホラー。

■感想
福森家で殺人事件が起きた。信じられないほど残酷な事件が起きた原因は何なのか。福森家の跡取りである亮太は、祖母に紹介された霊能者と共に家にまつわる秘密を解き明かすのだが…。まず霊能者が福森家にある呪物を次々と解き明かす場面が強烈だ。

家の中に数々の呪物があり、それにまつわる逸話や、どのような効果があるのかが語られる。基本はこの呪物にまつわるエピソードが本作のメインなのだろう。特に家の大黒柱をあえて逆さにした理由などは、多大な労力をかけるほどの効果があるのかと疑いをもつほどの大掛かりな作業だ。

中盤でそれまで呪物を次々と見破ってきた霊能者が、実は福森家に復讐するための悪の霊能者だと、別の白人の尼僧に告げられる。この場面が一番インパクトがあったかもしれない。無条件に霊能者の言うことを信じたとしても、どこまで信じて良いのか。

確かに嘘を告げられていたとしても、判断のしようがない。白人の尼僧の告白により、それまで呪物と説明されていた物たちが実は守り神で、守り神と思われていた物が呪物だというあべこべの展開となる。すぐに切った方がよいと言われた木が実は重要な存在だとか、訳が分からなくなる展開だ。

後半では、またさらにあべこべの展開となる。実は最初の霊能者は正しかった。白人の尼僧が福森家に恨みをもつ組織の人間だということがわかる。悪霊だとか呪物だとか、ラストでは死体が動き出すだとか、木乃伊に腕を噛まれてしまうだとか、その手の流れが描かれることになる。

呪われた刀で攻撃してくる相手に対して、思いもよらない効果を発揮したのは、サスマタだったり。。。最後は現実的な終わり方をしている。ホラーの要素は、呪物の恐ろしさにつながるのだろう。

呪物関連の説明がくどく感じた。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp