さがす


 2026.3.5    安楽死について考えさせられる作品【さがす】


                     
さがす [ 佐藤二朗 ]
評価:3

■ヒトコト感想
最初は大阪の人情味あふれる父娘の物語なのかと思ったが、非常にディープな物語となっている。根底にあるのは、生きる希望をなくした人を死なせることの是非にある。原田の妻がALSとなり生きる希望をなくし、原田に殺してくれと涙ながらに頼んでくる。それを手助けしたのは…。連続殺人犯となる山内だった。

序盤では娘の楓が原田を探すことから物語が動き出す。原田は連続殺人犯である山内に殺されたのでは?なんていう流れが描かれているのだが…。時間をさかのぼる形で、過去が描かれている。山内目線はすさまじいインパクトがある。一種の異常者なのだが、原田と出会った際には、本当に死にたい人をサポートして殺すという、ちょっとした善意の人のように見えるから不思議だ。

■ストーリー
大阪の下町で平穏に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」。いつもの冗談だと思い、相手にしない楓。しかし、その翌朝、智は煙のように姿を消す。ひとり残された楓は孤独と不安を押し殺し、父をさがし始めるが、警察でも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にもされない。

それでも必死に手掛かりを求めていくと、日雇い現場に父の名前があることを知る。「お父ちゃん! 」だが、その声に振り向いたのはまったく知らない若い男だった。失意に打ちひしがれる中、無造作に貼られた「連続殺人犯」の指名手配チラシを見る楓。そこには日雇い現場で振り向いた若い男の顔写真があった―。

■感想
父親が懸賞金目当てで連続殺人犯を探しに出かけるという。だらしのない父親が、突然そんなことを言い出すと、娘としては困惑しかない。朝起きると父親の姿がない。そこから方々を捜し歩くのが序盤の展開だ。

原田は明らかにダメな父親ではあるが、楓は健気に探し続ける。父娘の二人暮らしというのもあるのだが…。母親に何事かあったというのがわかる描写がある。そこから、楓が父親の身分証を持つ怪しい若者を見つけだすのだが…。ここで登場する山内が強烈なインパクトがある。

山内パートではその異常さが語られている。偏執的な性癖をもち、死にたい人を殺しているような描写がある。前半での楓との絡みがあり、そこから原田と関係したと思わしき山内が異常者だとわかると、原田の死を連想させる流れが続いていく。

そこから原田のパートになり、数日前から現在までに何が起きたかが描かれる。ここからがポイントだ。最初に原田と山内が出会うシーンでは、山内は良い人のように見えてくる。死にたいと連呼する妻の状態に悩み苦しむ原田。このあたりは心が痛くなる。

生きる希望をなくし死にたがっている人を殺す役割をしていた山内。実はただの異常者でしかないのだが…。楓が山内を追いかける中で、殺された原田の死体かと思い込んでいたのは、実は別人だった。必死にいろいろと策略を練った原田だったのだが、その割には成果がでていない。

安楽死に対しての考え方や、父娘の関係などディープな部分が描かれている。異常者山内により隠されているのだが、真剣に死にたいと思い依頼する人々についての異常性も描かれている。

後半の仕掛けがすばらしい。



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