リロ・グラ・シスタ 


 2025.11.22      学園叙述ミステリー 【リロ・グラ・シスタ】


                     
リロ・グラ・シスタthe little glass sister【電子書籍】[ 詠坂雄二 ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
青春ミステリーとでもいうのだろうか。学校の屋上で謎の死体が見つかった。探偵役が存在し、依頼者と探偵を補助する者たちもいる。叙述ミステリーのひとつになるのだろう。いきなりスタートする世界観に入り込めるかどうかにかかっている。屋上で死んでいたのは、写真部で女子学生たちを写真で脅迫していた葉群だった。探偵は同級生の観鞍に無実の証明を依頼されるのだが…。

登場人物たちのキャラクターの関係性がどうにも把握しづらかった。特に探偵が最初からかなり周りから探偵として認知されていることに違和感を覚え、もしかしたら何かの続編なのか?と思ってしまった。ミステリーのトリックとしては途中でオチがわかってしまう部分もあった。

■ストーリー
私立吏塚(りづか)高校の屋上で葉群(はむら)という男子生徒の屍体(したい)が見つかる。その前日、「吏塚の名探偵」は、生徒たちが帰宅し出払った宵闇の更衣室で、同級生の観鞍(みくら)に遭遇していた。最も怪しむべきその人物は名探偵に依頼する。「葉群の死に関わっていないって証明してよ」……。独特の文体、極限まで凝った趣向。ミステリ界の破格のトリックスターによる衝撃のデビュー作!

■感想
屋上に謎の死体が発見された。明らかに屋上から地上に落下したことによる死体。それが屋上にある不思議さがポイントだ。被害者は各方面から恨まれていた男で、女子学生たちを脅迫していたという驚きの事実もある。

そこから探偵に自分の無実を依頼した観鞍の存在が明らかとなる。探偵は観鞍のことを男かと思っていたが、実は女だった。さらには妹がおり、その妹が引きこもりの末に自殺したという流れとなる。探偵が脅迫者である葉群の部室でネガを見つけだし、そこから様々な推理をする。

学園探偵ものとしてスタートしており、最初から探偵は周りから認知されている。どこかハードボイルドな雰囲気があり、なぜか後半ではチンピラたちに圧倒的な武力で対抗し、ひとりでチンピラたちを倒しそうになっていたりもする。

定番的な流れとして探偵の助手がおり、それらが調査をするのだが真犯人により殺害されたりもする。観鞍の双子の妹は、引きこもりの末自殺してしまう。この観鞍が双子ということと、引きこもりの妹というのが最後のカギとなる。

オチは叙述ミステリーの定番的な流れとなっている。勝手に男だと思い込んでいたのだが、実は違っていた。依頼人の観鞍兄は男かと思っていたが、実は女が男に変装していたという情報が最初にある。このことから読者は勝手に観鞍兄が実は女で、そのことを葉群に脅迫されており、決定的な写真をとられていたと想像する。

そのために観鞍兄が葉群を殺したという流れに誘導している。これが、後半になり、観鞍兄があるJKの売春の得意客だったということが描かれている。ここから、ある程度オチが想像できてしまった。

学園ミステリー的な流れは定番的だ。



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