レジェンド 狂気の美学
評価:3
■ヒトコト感想
実在した双子のギャングを描いた作品。トム・ハーディが双子役を一人二役で演じている。ロンドンを支配したクレイ兄弟。驚きなのはトムハーディの演技だ。兄と弟でまったく異なる性格をトムハーディがうまく演じ分けている。顔は同じだが眼鏡をかけていることと、声質が異なるぐらいの違いかと思いきや、雰囲気が違うので顔も微妙に違うように見えてくる。
というか、兄のレジーに比べてロンは少し顔がぽっちゃりしているように見えた。これはどのような仕組みなのか気になってしまった。クレイ兄弟のなんでもありなロンドン支配。順調にいっていたはずが、ロンの暴走によりレジーは窮地に立たされる。ロンがいなければレジーの成功はもっと長続きしていたことだろう。
■ストーリー
1960年代初頭、活気に満ちたロンドン。強い絆で結ばれた双子のギャング、レジーとロンのクレイ兄弟は、その頭脳と暴力で街を支配していた。アメリカン・マフィアと手を組み、政治家やセレブリティと親交を深めた彼らは一大犯罪帝国を築いていく。そんな時レジーは部下の妹フランシスと出会い、恋に落ちる。フランシスに悪事と手を切ると約束したレジーはナイトクラブの経営に注力するようになるが、それを快く思わないロンは破滅的な行動を連発。組織内に不協和音が生まれ、さらに警察の執拗な捜査が迫り、兄弟の絆と栄華は脅かされようとしていた。
■感想
レジーは武闘派のギャングとしてロンドンを支配していた。暴力と頭脳、そしてレジーを支える双子の弟のロンが曲者だ。精神病院へ入院していたロン。薬を飲まないと暴走する。このロンの存在が何をしでかすかわからない恐怖を周りに与えていたのだろう。
レジーたちの特徴でもあり、ウィークポイントでもある。レジーはギャングであるが、町の人々からは慕われている。堅気には手をださない良い感じのギャングなのだろう。ただ、レジーが結婚相手として選んだフランシスの母親だけは、最後までレジーをギャングだからと毛嫌いしていた。
レジーは何かとロンに手を焼いている。唯一の兄妹だからとロンの失態についても目をつむっているレジー。アメリカのギャングからロンを始末しろと言われるが、それをはっきり断っている。レジーは頭が良く賄賂を活用して生き抜いている。
警察に対しての根回しや市民の証言すら操作している。そんな状態であってもロンの暴走がレジーを窮地に追い込む。対立するギャングをロンはあっさりと殺害してしまう。これは強烈だ。客がいるバーの中で顔を隠さずに殺害し、レジーに後始末をさせている。
最後は結局はロンのせいでレジーの組織は崩壊することになる。レジーは妻のフランシスを失ったのもロンの責任だと考えている。作中でははっきりと明言されていないが、ロンがフランシスに薬を渡しており、それによりフランシスがノイローゼになったと読み取れた。
ラストの流れは強烈だ。レジーはロンを死ぬほど憎んではいるが、ロンを手にかけることはできない。それは、ロンがレジーの片割れだからだ。レジーの苦悩とロンのあっけにとられた表情は秀逸だ。これを同じ俳優が演じていることに衝撃を受けることだろう。
トムハーディの一人二役はすさまじい。