ラム・ダイアリー
評価:3
■ヒトコト感想
実在したジャーナリストを描いた物語だ。プエルトリコにやってきたジャーナリストのケンプを演じるのはジョニーデップだ。どうやらジョニーデップとケンプの元ネタとなるジャーナリストが知り合いであるために映画化されたらしい。不正な土地取引で金もうけをたくらむアメリカの実業家サンダーソンを告発する物語なのだが…。ジャーナリストの告発ものという要素は少ない。
終盤まで、ほぼケンプはラム酒で酒浸りとなり、サンダーソンに気に入られ一緒にパーティをしたり。金持ち実業家たちだけの秘密を暴露するジャーナリストの気概に満ちた活動というよりは、個性豊かな新聞社の仲間たちとわちゃわちゃしている間に巨悪の存在を暴くという流れだ。
■ストーリー
1960年、南米プエルトリコのサンフアンに、ジャーナリストのポール・ケンプが降りたった。ニューヨークの喧騒に疲れ果て、神経過敏気味の編集長ロッターマンが運営する地元新聞「サンフアン・スター」紙に記事を書くため、カリブ海に浮かぶ島プエルトリコへとやってきたのだ。同じ新聞社のジャーナリスト仲間に囲まれながら、ラム酒を浴びるように飲むという島の生活にすぐに馴染んだケンプは、ある日アメリカ人企業家のひとりであるサンダーソンと出会う。
そして、彼の婚約者であるシュノーとの偶然の出会いから、彼女の類まれなる美しさと魅力に夢中になる一方、いつしかサンダーソンの策略に巻き込まれていく。果たしてケンプはジャーナリストとして、腐敗と強欲にまみれた真実を暴くことができるのか! ?
■感想
プエルトリコの新聞社に転職したケンプ。新聞社のボスには期待されているが、実はその新聞社はつぶれる寸前だった。新聞社の仲間たちは個性豊かで、飲んだくれの記者や仕事をしない記者まで。ケンプは占い記事の担当となり、数人の仕事ができる記者の仲間入りをすることになるのだが…。
実業家のサンダーソンに気に入られ、金持ちたちの密かなたくらみを知ることになる。序盤ではサンダーソンたちセレブの仲間に取り入られ、パーティに参加したりとケンプは楽しく過ごしている。そして、サンダーソンの婚約者であるシュノーと運命の出会いをする。
終盤まで、ケンプは流されるようにサンダーソンたちのセレブ仲間に入っている。平行して新聞社の仲間たちとは、くだらないことをくり返している。ホテル暮らしから、同僚の家に転がり込むのだが…。新しい環境はとんでもなく劣悪な環境だったりする。
飲んだくれでナチスにかぶれた男が近くにいたりと、何かとケンプの邪魔をする。地元民たちのトラブルがあり、警察に拘留され刑務所に入れられそうになるのを、サンダーソンに助けたもらったり。ここまではただの酔っ払い新聞記者でしかない。
後半では、突如としてケンプはサンダーソンと袂を分かれることになる。シュノーがケンプに近づきつつあり、サンダーソンが自分の計画に危機感を覚える。ケンプはそもそもサンダーソンの実業家仲間たちの集まりに否定的だった。サンダーソンたちを支援するための記事を書くことを最後まで渋っている。
正義の新聞記者がプエルトリコでの不正な取引を暴く、というたぐいのジャーナリスト物語ではない。ラムを飲んだくれている者たちの反逆の物語のような気がした。
新聞社の個性的な仲間たちが強烈だ。