楽園の楽園 


 2026.4.29      西遊記を模した物語 【楽園の楽園】


                     
楽園の楽園 (単行本) [ 伊坂幸太郎 ]
評価:2
伊坂幸太郎おすすめランキング
■ヒトコト感想
伊坂幸太郎の作品。西遊記を想定させるような登場人物たちが旅を行う。驚異的な免疫力をもつ五十九彦。これは孫悟空なのだろう。天才的な思考力をもつ三瑚嬢。これは名前がそのまま沙悟浄なのだろう。そして、食のこだわりが強く肉体も強い蝶八隗。これも名前のとおり、猪八戒なのだろう。西遊記は天竺を目指すのだが、本作では人工知能の「天軸」ということになっている。

社会が崩壊しつつあるのは、人工知能のせいだということになり。人工知能の開発者である先生を探し、楽園を目指す物語となっている。印象的な挿絵も合間にありつつ、世界を救うために3人の少年少女たちが旅をする。サラリと読める短編ではあるが、物語はかなり壮大であることは間違いない。

■ストーリー
大規模停電、強毒性ウィルスの蔓延、飛行機墜落事故などが立て続けに発生し、世界は急速に混乱に陥った。これらすべての原因は謎の人工知能『天軸』の暴走と考えられた。五十九彦(ごじゅくひこ)、三瑚嬢(さんごじょう)、蝶八隗(ちょうはっかい)の選ばれし3人は、人工知能の開発者が残したという巨大な樹の絵画『楽園』を手掛かりに、暴走する『天軸』の所在を探る。旅路の果てには、誰も想像できない結末が待ち受ける。

■感想
世界は混乱に満ちている。世界各地での大規模な停電、強毒性のウィルスの蔓延、そして地震や航空機事故まで。。。この世界の混乱は人工知能である天軸の暴走であると言われているのだが…。天軸の開発者である先生を探す物語となっている。

身体能力が高く、驚異的な免疫力で今まで風邪ひとつひいたことのない五十九彦。三瑚嬢が天才的な策略を考え、蝶八塊は食いしん坊であるが肉体の強さで五十九彦をサポートする。西遊記を模しているとしても、孫悟空が五十九彦という、これだけ名前がリンクしていないので何か秘密があるのでは?とずっと気になってしまった。

天軸を目指す過程で、様々な妨害がある。そのあたりは、本家の西遊記と同じようにちょっとした冒険物語となっている。世界を進化させ、人々の暮らしを便利にするはずの人工知能が暴走し、社会を崩壊させたと言う流れとなっている。

AIによる大規模停電や航空機事故は想像しやすい。ウィルスの蔓延も作中では停電によりウィルスの研究所からウィルスが漏れ出したために世界に蔓延したということになっている。天軸を正常に戻すことができるのは先生だけなのだが…。

先生は天軸のもとに向かい、そこで消息を絶っている。3人がやってきたのは超巨大な木が中心に立つ森の中だった。ここで3人は先生を見つけ出し、真実を知ることになる。木を中心とした巨大な森はシステムを表現しているということらしい。

電子回路のように森は動物たちや植物に指示をだして目的を実施する。天軸が地球に害をなすということで、人間を排除したのかと思ったがそんな展開ではなかった。天軸は正常ではあったのだが、森がシステムとして世界を動かしていたというのは強烈だ。

短編ではあるが、強烈なインパクトのある作品だ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp