ポトフ 美食家と料理人


 2025.11.2    丁寧に作られる料理の数々【ポトフ 美食家と料理人】


                     
ポトフ 美食家と料理人 [ トラン・アン・ユン ]
評価:3

■ヒトコト感想
食のナポレオンと呼ばれた男ドダンと、ドダンと共に働く料理人のウージェニーの物語だ。冒頭から、料理を作るシーンが続く。ドダンは少しだけ料理し、ほとんどウージェニーと手伝いの少女たちがひたすら料理をし続ける。この料理のシーンがすばらしい。昔のフランスが舞台になっているので、料理の器具は非常に原始的ではあるが、それでも鉄鍋を使っておいしそうな料理を作る。

井戸で水を汲んで料理に使う。信じられないような手間暇をかけて料理を完成させる。料理を作るシーンがすばらしいのに加えて、料理を食べるシーンもよい。スープから始まり、パイ包みやヒラメのムニエル、子羊の肉やなどおいしそうな料理が続いていく。厨房の中で同じタイミングで同じ料理を食べるウージェニーと手伝いの少女たちが輝いて見える。

■ストーリー
<食>を追求し芸術にまで高めた美食家ドダンと、彼が閃いたメニューを完璧に再現する料理人ウージェニー。二人が生み出した極上の料理は人々を驚かせ、類まれなる才能への熱狂はヨーロッパ各国にまで広がっていた。ある時、ユーラシア皇太子から晩餐会に招待されたドダンは、豪華なだけで論理もテーマもない大量の料理にうんざりする。<食>の真髄を示すべく、最もシンプルな料理<ポトフ>で皇太子をもてなすとウージェニーに打ち明けるドダン。だが、そんな中、ウージェニーが倒れてしまう。ドダンは人生初の挑戦として、すべて自分の手で作る渾身の料理で、愛するウージェニーを元気づけようと決意するのだが―。

■感想
仲間内の午餐会が開かれる日、そこにひとりの少女ポーリーヌがやってきた。非常に繊細な味覚をもつ少女に料理の才能を見出したドダンとウージェーニ。その場で様々な料理を作り、ポーリーヌに手伝わさせ、同じ料理を食べる。

ゆっくりと時間をかけておいしい料理を食べる。作るシーンから見せられると、ものすごく手間がかかっていることがわかる。ラストのデザートまでフルコースが振舞われる。デザートにでかいケーキを食べるというのも、いかにもフランスらしいと感じた。

ユーラシアの皇太子の晩餐会に招待されるが、それには全く満足しないドダン。ユーラシア皇太子を招待しポトフを提供しようと考えていたのだが…。その矢先にウージェーニが倒れてしまう。それまでも料理中に辛そうな表情をするウージェーニの姿が描かれていた。

料理はドダンが考えたとしても、それを忠実に料理として作り上げるのはウージェーニの仕事だった。夫婦のような関係性であったドダンとウージェーニだが、実は結婚していなかった。ふたりの微妙な関係というのが描かれている。

ウージェーニが死んだ後に、ドダンは仲間たちから紹介された新たな料理人たちと面会する。その場で料理を作らせてポーリーヌと共に試食する。とうていドダンが満足するような料理は完成しない。ポーリーヌはウージェーニが死んだことで料理人への道が閉ざされたような感じだったのだが…。

ドダンが面倒をみて料理人として育て上げる流れなのだろう。料理シーンに強烈なインパクトがあるのは間違いない。このおいしそうな料理の数々に目が釘付けになることだろう。

強烈な料理の数々だ。



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