パズルと天気 


 2026.5.13      軽妙な会話が続く短編集 【パズルと天気】


                     
パズルと天気 [ 伊坂幸太郎 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
伊坂幸太郎の短編集。軽妙な会話が作者の作品のポイントになるのだろうが…。日常では使わないような丁寧な言い回しで物語は続いていく。どこか非日常でありながら、ほんわかと少しだけ幸せな気持ちになれる短編となっている。読み終わっても、なんだかぶっ飛びすぎて意味のわからない短編もある。「イヌゲンソーゴ」なんてのは犬同士の会話が展開されていくのだが、そこに昔話が混じってくる。

花咲か爺さんなんてのは、確かに犬目線であればとんでもない物語となるのだろう。ファンタジーすぎる内容であり、犬が自分の祖先が悪い爺さんにさんざんな目にあわされたということを覚えており、本能的に悪い爺さんの子孫に恨みの思いを抱く。奇妙すぎる展開だ。

■ストーリー
伊坂幸太郎デビュー25周年に贈る、「幸せ」な短編集!【パズル】悩みを抱えた「僕」は、マッチングアプリでしか出会えない「名探偵」に依頼する。【竹やぶバーニング】出荷した竹にかぐや姫が混入!? 仙台七夕まつりで大捜索が始まった!【透明ポーラーベア】動物園で会ったのはシロクマ好きで行方不明になってしまった姉の、元恋人だった。【イヌゲンソーゴ】花咲か爺さん、ブレーメン……俺たちの記憶を刺激するあの男は誰だ?【Weather】友人・清水の結婚式に参加した大友は新婦からある相談を持ち掛けられていて――。

■感想
「Weather」は、表題作の天気にあたる短編だ。友人の結婚式に出席した主人公が当たり障りのない天気の話ばかりをする。それはなぜか。ポイントは事前に主人公が新婦から相談を持ち掛けられたことが影響していた。。。

女性関係に奔放だった新郎の友人としては、結婚式の場で新郎の過去のまずいエピソードを話すわけにはいかない。結婚式中に新郎が怪しげな動きをする。まさか、結婚式の場で女関係での問題が何か起きるのか…。女性関係の話をさんざん危ないことのように語りながら、ラストでは新郎の思いもよらないサプライズが語られることになる。

「竹やぶバーニング」は、七夕まつりの中で飾られている竹の中にかぐや姫が混入したという奇想天外な物語となっている。竹藪の中にまぎれたかぐや姫を探すのは、女性にモテモテのホストの知り合いとなる。女性の視線を独り占めするイケメン。

商店街の七夕祭りの中でかぐや姫を探しだす。世の中にかぐや姫が存在することが前提となっており、さらにはそのかぐや姫がホストの男に興味をもつことが前提となっている。仙台出身の作者ならではの短編かもしれない。

「透明ポーラーベア」は行方不明の姉の元恋人である富樫さんと偶然再会したことにより、シロクマの話をすることになる。本作こそ、作者の真骨頂なのだろう。終始、軽妙な会話が続いていく。行方不明の姉は何者も超越した存在となり、宇宙をも凌駕するような流れとなっている。

姉は超自然的な存在となり、そこからシロクマの毛が実は透明であるという流れとなる。身内の元恋人というのはたとえ親しくしていたとしても、再会した際にどこまで親密になれるのか。。。

作者らしい短編集だ。



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