おーい、応為


 2026.6.6     90歳まで生きた北斎【おーい、応為】


                     

評価:3

■ヒトコト感想
浮世絵師の葛飾北斎の娘であるお栄を描いた作品。江戸時代の絵師たちの生活や日常生活なども描かれている。女性絵師として稀有な存在であるお栄は父親から葛飾応為という名前をもらう。そうなるのは、お栄が嫁いだ相手の家から出ていき、出戻りとなり北斎と親子での生活を送ることから始まる。

親子の関係は仲が良いわけではない。お互いが憎まれ口をたたきながらの生活となる。日常生活の家事はまったくできないお栄であったが、絵の腕はピカイチだった。北斎もお栄の才能は認めていた。北斎がしょっちゅう引っ越しをしていたり、有名な絵師ではあるが金を積んだからといってあっさりと絵を描くような男ではない。芸術家らしく気難しい親子であることは間違いない。

■ストーリー
北斎の娘、お栄はある絵師のもとに嫁ぐが、かっこうばかりの夫の絵を見下したことで離縁となり、父のもとへと出戻る。父娘にして師弟。描きかけの絵が散乱したボロボロの長屋で始まった二人暮らしだが、やがて父親譲りの才能を発揮していくお栄は、北斎から「葛飾応為(おうい)」(いつも「おーい!」と呼ばれることから)という名を授かり、一人の浮世絵師として時代を駆け抜けていく。

美人画で名を馳せる絵師であり、お栄のよき理解者でもある善次郎との友情や、兄弟子の初五郎への淡い恋心、そして愛犬のさくらとの日常…。嫁ぎ先を飛び出してから二十余年。北斎と応為の父娘は、長屋の火事と押し寄せる飢饉をきっかけに、北斎が描き続ける境地・"富士"へと向かうが…。

■感想
北斎の娘である葛飾応為というのが存在していたことを知らなかった。出戻りの女絵師であり、北斎が死ぬまでそばにいた存在。序盤では応為はお栄というただの出戻り女性という描かれ方をしている。絵筆をとろうとしない。

北斎の弟子である絵師に恋心を抱くのだが、その恋に破れてしまう。そこからのお栄は、昔絵を描くことが好きだった自分を思い出し、絵を描くことを再開する。北斎の一番近くで北斎の絵を見続けた応為。改めて北斎の才能に驚いている描写がある。

親と子の二人暮らしは、雑然とした長屋での生活となる。部屋の中は散らかり放題。唯一のペットである犬の桜を含めた2人と1匹の生活ではあまりに狭い部屋のように思えた。江戸の町ではしょっちゅう火事が起きる。

この時代の火事は大ごとであり、火を消すよりも、それ以上燃え広がらないように周りの建物を壊すくらいしかない。そんな状態であれば、密接した長屋で火事がおきると一瞬であたりに広がってしまうのは間違いない。北斎たちはしょっちゅう引っ越しをしている。

北斎には何人か有名な絵師になった弟子がいた。それらは絵の世界で成功した後に、絵の世界から手を引いたりもしている。若い弟子をとっていたのが、いつの間にかその弟子が老衰で死んだりもする。北斎はどれだけボロボロになろうと、しぶとく生き残っている。

一人旅をしたり、ある日、ふらっと応為の元に帰ってきたはよいがボロボロになっていた。いつ死ぬかわからない状態でありながら、生き続ける。この時代に90歳まで生きたというのは驚きしかない。

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