眠れる美女たち 上 (文春文庫) [ スティーヴン・キング ]
評価:3
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■ヒトコト感想
女性が白い繭に覆われて眠りにつく病気が蔓延した。女性限定で眠った人は二度と目を覚まさない。その白い繭を取りはらってしまうと…。狂暴化した女性は眠りを妨げられたと感じ、激しく攻撃をしてくる。通称「オーロラ病」と呼ばれる病気に大騒ぎする人々が描かれている。特に女性刑務所の内部の状況は強烈だ。
セクハラ刑務官を辞めさせたい女所長。オーロラ病により所長は眠りについてしまう。女性しか発生しない病気がポイントなのだろう。妻との関係が悪化していた男は、妻が繭に覆われ眠っている姿を見て何を思うのか。世界的にオーロラ病の症状が報道され、眠らなければ白い繭に覆われることがないとわかると、女性は眠らない努力をすることになる。
■ストーリー
はじまりは小さな町ドゥーリングの女子刑務所だった。受刑者たちが眠りにつき、白い繭に覆われていく。女性だけが眠りに落ち、目覚めなくなるこの奇妙な現象は「オーロラ病」と名付けられ、やがて世界中に発生する。さらに、起きている者が「オーロラ病」患者を無理矢理起こそうとすると、凶暴化して見境なく人を襲い始めてしまう特徴があり……。人々が恐怖でパニックに陥る中、ドゥーリングには唯一、病を恐れる様子もなく静観する“謎の女”がいた。彼女の正体とは?
■感想
次々と女性たちが眠りにつき目を覚ますことなく、白い繭に覆われていく。その症状が蔓延する前に、白い繭をはがした男は、目の前の女性に襲われることになる。冒頭で異常な怪力を示して男をボコボコにする女。
その女はガラスを破壊し、狂暴化したまま目の前の成人男性を破壊していく。白い繭をはがされた女は、唯一、目に入った小さな子供だけには攻撃を加えることはない。この習性は何かしら生物的な意味があるような気がした。眠ることに何か重要な意味があり、それを邪魔された際に狂暴になるだけ。ほおっておけば良いパターンだろうか。。
普通に生活していた女性たちが次々と眠り続けてしまう。取り残された男たちはどのような行動にでるのか。これをチャンスとして女性に襲いかかろうとした男は、白い繭をはがしたことで女性に返り討ちにあっていしまう。
一度眠ったら二度と目を覚まさないという情報が流れると、まだ眠っていない女性たちは必死に眠らないための努力をする。ここであっさりとドラッグを利用して起き続けるという手段をとるのはアメリカらしい。ドラッグの覚醒効果は信頼できるものなのだろう。
パートナーが眠りについて、絶望して自殺する男もいる。フェイクニュースで眠りについた女を焼き殺さないと、この病気が蔓延し続けるという噂がたったりもする。そんな中で、唯一繭にも包まれず眠ってから目を覚ました女がいた。
この病気を分析し、ワクチンを開発しようとする医者の男もいれば、女性に対して極度の偏見をもつ男が、男の社会を作り上げようと画策するなど、様々な動きがある。女性だけに発症する謎のオーロラ病の正体は下巻に明らかになるのだろう。
オーロラ病のオチが気になるところだ。