眠れる美女たち 下 (文春文庫) [ スティーヴン・キング ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
前作で次々と眠りについて目を覚まさない女たちの謎が、本作で明らかとなる。眠った女たちは別の世界で、女たちだけのパラダイスを作り上げていた。結局は何が言いたいのだろうか。男たちの世話をするのに嫌気がさした女たちが、一時的に女たちの世界に逃げ込み、女の価値を男たちに知らしめたいということなのだろうか。
男たちは女たちが眠り続けることへの秘密を握っていると思わしき女イーヴィを奪還しようとする。現実の世界では男たち同士でカギを握る女の奪い合いとなる。女たちの夢の世界では、このまま夢の世界に居続けるべきか、現実世界に戻るべきかの議論がなされる。疫病か何かを予想していたが、スピリチュアルな要素が満載となっている。
■ストーリー
ひとたび眠りにつくと目を覚まさなくなる「オーロラ病」に罹った女たち。目覚めたのは、廃墟のような異世界だった。年齢も仕事も生活水準も違い、接点のなかった彼女たちは、生き延びるために結託する。一方、女たちの肉体が眠り続ける現実世界では、男たちの恐怖と不安が渦巻いていた。女たちの体を焼いてしまおうとする者も出てきて……。
■感想
「オーロラ病」の謎は解き明かされるのか。女たちの夢の世界は、一見すると廃墟のような世界だった。突然送り込まれた夢の世界で女たちは共同生活を始める。ここでポイントなのは現実世界とリンクしているということだ。
現実では女たちは繭に包まれて眠り続けている。眠っている間は夢の世界にいるのだが、現実で繭ごと燃やされたり、目覚めたは良いがそのまま殺されたりした場合は、夢の世界からなんの兆候もなく突然消え去ることになる。まさに眠っている間だけいられる世界だ。
女たちが次々と眠ってしまった現実世界で、男たちはどんな行動をとるのか。自由を謳歌するのか、女の目を覚まさせようとするのか。唯一、現実世界で眠った後にも目を覚ますことができる女であるイーヴィ。何かしら秘密を握っていると考え男たちはイーヴィを手に入れようとする。
ここでイーヴィを守る勢力と奪還する勢力に男たちは分かれ、戦争することになる。何かしら女たちの目そ覚まさせるために必死になるので、やはり男たちには女が必要ということなのだろう。
女たちの夢の世界でも議論が繰り返されることになる。このまま夢の世界で女だけの生活を送るのか。それとも現実世界に戻るのか。女たちは男たちの世話をすることに嫌気がさしている。ただ、未練があるのは間違いない。
ここでの議論が本作のメインなのだろう。何かしら疫病か何かで女たちは眠り込み、特効薬が開発されて女たちが目を覚ます下りかと思いきや…。スピリチュアルな世界で女たちが決断したことで、一斉に女たちは現実世界に戻ることになる。
男にとっては女は必要な存在なのだ。