もしも徳川家康が総理大臣になったら [ 武内英樹 ]
評価:3
■ヒトコト感想
ビジネス書が原作らしい。原作は未読。コロナ渦の日本の現実を憂いて、もし偉人が総理大臣となったらという発想から生まれた作品なのだろう。ビジネス書がベースなので、教訓めいたことが結論とされている。AIホログラムにより歴史上の偉人たちを復活させ政府として日本を運営させる。徳川家康が総理大臣で、脇を固めるのは織田信長と豊臣秀吉、それ以外に様々な偉人が政府の要職に就く。
紫式部や北条雅子、聖徳太子までも登場してくる。コロナ渦の特殊状況なだけに、偉人という日本人なら誰もが知っている人物に政治をまかせる。民衆からの熱狂的な後押しがあればこそコロナ渦の中では適切な政治ができるのだろう。偉人たちの言葉の中には極論ではあるが、納得できる言葉もある。
■ストーリー
時は 2020 年、コロナウィルスが猛威を振るい日常を奪われた日本。国内どころか世界中が大混乱に陥る中、首相官邸でクラスターが発生、あろうことか総理大臣が急死。そこで政府が実行した最終手段、それは「AI・ホログラムにより歴史上の偉人たちを復活させ、最強内閣をつくる」という前代未聞の計画だった。総理大臣を託されたのは“江戸幕府を作り上げた伝説の男”徳川家康(野村萬斎)。
そして、日本史に燦然と輝く大スターたちが議員バッジをつけて入閣。官房長官を“幕末の風雲児”坂本龍馬(赤楚衛二)、経済産業大臣を“最強にして最恐の革命 家”織田信長(GACKT)、財務大臣を“空前の成り上がり者”豊臣秀吉(竹中直人)、ほかにも紫式部(観月ありさ)、聖徳太子(長井短)、北条政子(江口のりこ)、徳川吉宗(髙嶋政宏)、徳川綱吉(池田鉄洋)、足利義満(小手伸也)など
通称≪偉人ジャーズ≫によるドリームチーム内閣が誕生する。圧倒的なカリスマに加え、政策を推し進める“えげつない”実行力に人々は驚愕し、日本中が熱狂していく。そんな中、テレビ局の新人記者・西村理沙(浜辺美波)はスクープを取ろうと政府のスポークスマンである坂本龍馬に近づくのだが、ひょんなことから偉人ジャーズの活躍の裏に渦巻く黒い思惑に気付いてしまう―果たして、陰謀の正体とは?そして、日本史に新たに刻まれる“事件”の真相とは?!
■感想
日本の今の政治家たちがだらしがないから、歴史上の偉人たちに政治をまかせる。AIが作り出したホログラムで、性格などをベースに再現し、政治を運営する上で適さない部分はプログラムで制御する。時代も異なる偉人たちを政府としてひとつにまとめるためには、多少都合の良い設定が必要なのだろう。
そのあたりの細かいことは抜きにして、偉人たちの性格をベースにコロナ渦の日本のかじ取りをさせる。コロナ渦の政府については、日本国民の誰もがストレスがたまっていたのだろう。そのうっぷんを晴らすかのうような物語だ。
歴史上の対立はなかったことになっている。それぞれの偉人に合わせてポストを用意している。聖徳太子を女優が演じていることに違和感を覚えたのだが、何か意図があったのだろうか。足利尊氏がすべてを金色にしたいというのは、単純に金閣寺からきているのだろう。
財務大臣の織田信長と総理大臣の徳川家康の人気が二分する。プログラムのミスで総理の意向に反する行動をとる偉人がいることがわかり、それが誰なのかの調査が始まる。少しだけミステリーの要素が付け加えられている。
メインは偉人たちの言葉の数々なのだろう。豊臣秀吉のいい切り型の宣言はすさまじい。自分は決めて、やらせて、責任をとる。実行するのは自分の役目ではないと言い切ってしまう。今の日本の政治家は何もかも一人で決めることはできず、すべてが話し合いにより決断することに逃げている。
決めることができない、責任をとれない、の正反対の行動をとる秀吉は強烈なインパクトがある。ある意味、独裁であることは間違いないのだが、危機的状況であればそれが一番求められる資質なのかもしれない。
偉人がコロナ渦を切り抜けるというのは強烈だ。