真夜中の子供 


 2026.6.20      無戸籍の子供は学校に行けない 【真夜中の子供】


                     
真夜中の子供 (河出文庫) [ 辻仁成 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
福岡の中州を舞台とした物語。主人公の少年蓮司はホステスの母親あかねの私生児として生まれ無国籍のまま育っている。小学校にもいかず中学校にもいかないまま成長する蓮司。中州の飲み屋街で育つ少年はどのように成長していくのか。蓮司の視点と中州を守る巡査部長の宮台の視点で物語は描かれている。

小学校も中学もいかずに育つとどうなるのか。作中ではそのあたりの描写はないが、まず思い浮かぶのは読み書きができないのではないか?ということだ。普通の家庭ならいざ知らず、ホステスの母親が独自に教育をするとは思えない。青年となった蓮司は読み書きが問題なくできているような描写となっているが、このあたりは都合のよすぎる展開だと思った。

■ストーリー
日本屈指の歓楽街・博多中洲。その街で真夜中を生きる無戸籍の少年がいた――家族の繋がりを超えた人間の強さと温かさを描く感動作。

■感想
無国籍の少年蓮司。中州の大人たちに育てられているような存在。母親がネグレクト状態であれば、自然と周辺の大人たちが面倒を見てくれるのは、中洲という場所柄もあるのだろう。父親はホストだが蓮司に虐待を行っている。

こんな状態の蓮司が一番に恨みに思っているのが、実は母親というのが驚きだ。少年蓮司にとっては一番身近な存在であるはずの母親。自分が小学校に行けないのはなぜか?ということを理解できる年齢になると逆に小学生に対して蓮司が近寄らなくなるのは当然なのかもしれない。

蓮司と同年代の少女・緋真と出会う。緋真は学校に通っており、蓮司にとっては外の世界と唯一の繋がりとなる存在だった。本作の全体として、まったく教育についての記述がない。小学校では教育以外にも社会性を身に着ける必要があるのだが…。

社会性のない人間になるのはわかるが、教育についてもまったく受けていない状態であれば、まともに読み書きできず、ホストクラブでも働くことはできないだろう。無国籍でどこまで一般的に生活ができるのかは不明だ。

16歳になった蓮司と出会う宮台。年齢を偽ってホストとなった蓮司ではあるが、ホストのナンバー1となる。このタイミングで母親のあかねが登場し、蓮司から金をせびり続ける。この関係性はよくあるパターンかもしれない。

息子が売れっ子ホストとなると、その金を頼りにする母親。ラストの展開は衝撃的だ。少年時代から蓮司が一番に恨んでいたのは母親のあかねだということが証明されたことになる。無国籍でこの日本でどこまで生きていけるのか。

現実にも無国籍児童は存在するのだろう。



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