マリウポリの20日間【Blu-ray】 [ ミスティスラフ・チェルノフ ]
評価:3.5
■ヒトコト感想
ロシアとウクライナの戦争を描いたドキュメンタリー。ウクライナ東部のマリウポリをロシア軍が包囲した。ウクライナ人の記者がロシア軍の容赦ない攻撃を撮影する。かなり衝撃的な映像の数々だ。恐らくだがショッキングな描写は間引かれているのだろう。戦争はどちらか一方の視点では本当の姿は見えないとよくいうのだが。。
ウクライナにも問題があるらしいのだが…。それでも強烈にロシア軍に嫌悪感を抱くことは間違いない。何も知らない市民たちが犠牲となっていく。ロシアの言い分としては、軍人が紛れ込んでいるから、ということなのだろうが。。。病院にミサイルを撃ち込み、産婦人科を潰す。そこにどんな意義があるのか。強烈なインパクトがある映像であることは間違いない。
■ストーリー
2022年2月、ロシアがウクライナ東部に位置するマリウポリへの侵攻を開始。これを察知したAP通信のウクライナ人記者であるミスティスラフ・チェルノフは、仲間とともに現地に向かった。ロシア軍の容赦のない攻撃による断水、食料供給や通信の遮断…瞬く間にマリウポリは包囲されていく。海外メディアが次々と脱出していく中、彼らはロシア軍に包囲された市内に残り、死にゆく子供たちや遺体の山、産院への爆撃など、侵攻するロシアによる残虐行為を命がけで記録し、世界に発信し続けた。
徐々に追い詰められていく中、取材班はウクライナ軍の援護によって、市内から脱出することとなる。滅びゆくマリウポリと戦争の惨状を全世界に伝えるため、チェルノフたちは辛い気持ちを抱きながらも、市民を後に残し、脱出を試みた…。
■感想
ウクライナのマリウポリのリアルな現状をカメラにおさめている。ショッキングな映像の数々だ。戦車が大砲を撃つシーンがそのまま映像化されている。自分たちの建物に砲台が向く可能性がある。安全な場所で高みの見物的に撮影しているわけではない。
一歩間違えると、自分たちの建物にミサイルが落ちてくる可能性がある。町の高層の建物が、白い煙を上げてボロボロになっている。ほぼ町は壊滅状態だ。市民たちは何が起きているかわからない、と混乱しているのが本当のリアルかもしれない。
病院へ攻撃を加えたロシア。その映像を世界に暴露したのが本作のカメラマンなのだが…。世界に話題になった瞬間にロシアがあれはフェイク映像だと発表する。これこそが情報戦だ。ロシアの高官自身はフェイク映像だとは思っていない。
上層部の命令でそう言わざるおえない。レポーターに突っ込まれて苦し気に答えているロシアの高官の姿が印象的だ。そして、映像を撮影した人物自身は、マリウポリでロシア軍に囲まれて逃げ出せない。ロシア軍に捕まるとフェイク映像だと言わされる危険性もある。
このドキュメンタリーはもっと世界的に話題になってもよいはずだ。死者をまとめて土に埋めるシーンは強烈だ。市民たちは何が起きているのかわからない。自分たちが生活で使っていた商店に対して、近所の人たちが略奪に入る。非常事態は人をおかしくするのだろう。
店の持ち主の女性が泣きながら入ってくるなと人々を外に追い出している。近所の人も罪悪感からか、その姿を見ると手にした商品を元に戻していく。サッカーボールを手にした男に、この非常事態に遊ぶのか?と問いかけるのは印象的だ。
すさまじいドキュメンタリーだ。