公安調査庁 情報コミュニティーの新たな地殻変動 (中公新書ラクレ 692) [ 手嶋龍一 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
公安警察や検察とも違う、公安調査庁とはどういった組織なのかを対談形式で語る本作。いつもの手嶋龍一と佐藤優が実際の出来事を交えて、その事件の裏で公安調査庁がどのような役割をしたのかが描かれている。日本で最も知られていない情報機関の一つであるらしい。人を通じて情報を集めるヒューミントを得意とする組織。
実は金正男が日本に身分を偽って入ってきたときに、いち早く反応し、空港職員へ情報提供したのが公安調査庁らしい。英国のMI6から重要な情報提供を受けていた事実。どの情報機関でも知らない情報をなぜ公安調査庁は知ることができたのか。表舞台にはほとんど現れることのない組織。実は水面下で国家のリスク評価を支えている組織だということがよくわかる作品だ。
■ストーリー
「あの時、MI6は、公安調査庁に極秘情報を渡していた――」深い霧に覆われた情報組織、これが公安調査庁だ。一般の目が届かない深層で情報活動を繰り広げ、決して表舞台に出ようとしない組織。逮捕権を持たないため、人の心の襞に分け入るヒューミント(対人諜報)に存在意義を見出している。公安警察や外務省と情報コミュニティーの主導権を競う公安調査庁。インテリジェンスの巨匠ふたりは、その素顔に切り込み、過去の重大事件の裏側を初めて論じてみせた。いま公安調査庁から目が離せない!
■感想
日本は情報分野で後れをとっていたらしい。というか、組織として専門の組織がないのは、歴史的背景もあるようだ。外務省の職員が公安のようなことをする場合もあり、公安警察が情報を収集する場合もある。
地味で目立たない組織ということで、そんな情報機関が有名になるのは、何か失態を起こした場合のみだ。驚きなのは、イギリスなどでは、公安調査庁のような地味な情報機関の活躍を一般人に認知させるためにドラマでMI6などが大活躍させているようだ。これはアメリカにも言えることかもしれない。
公安調査庁には逮捕権がないらしい。つまり公安警察とは違う。テロや海外からの問題を未然に防ぐことが公安調査庁のミッションであり、その場で逮捕する必要なないということなのだろう。内調や外務省とは決定的に異なる部分や、公安警察とも異なる部分だ。
イスラム国で海外の兵士を募集した際に、日本人の戦闘員が参加しようとしていた。それを防いだのも公安調査庁の活躍があってのことらしい。古本屋を連絡場所としているなんてのは、そのまんまドラマで使えそうな展開だ。
どれだけ優れた情報機関であってもミスはある。実例を交えてCIAがやらかした失態も描かれている。米軍のイラクへの侵攻のきっかけとなった「カーブボール」事件は印象的だ。当時のブッシュ大統領はイラクへ攻め入るきっかけがほしかった。
その大統領の意に沿うような情報を自然とCIAが集めてしまい、その結果、情報が正しいという検証がされないまま、イラクへと攻め入り大量破壊兵器を見つけることができないままアメリカの失態として歴史に刻まれることになってしまった。
公安調査庁という組織の存在はまったく知らなかった。