これだけで、幸せ 小川糸の少なく暮らす29ヵ条 [ 小川糸 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
小川糸のエッセイ集。お気に入りの道具を紹介することがメインなのだが、できるだけコンパクトに暮らすことになった経緯を含めて語られている。写真付きで作者の愛用する道具が紹介されている。決して特別な物ではない。どこにでもある物を大事に便利に使っている。印象的なのは、ビルケンシュトックのサンダルを何度も修理して使っているという部分だ。
どれだけ素晴らしいサンダルなのかと思ったら、ごく普通のサンダルだった。さすがにソールは修理したとしても、アッパーの部分はさすがに古びている。ただ、これを修理するなら新しい物を買った方が良いのでは?と思ってしまった。そのほかにも工夫して便利に使っている例なども写真付きで説明している。
■ストーリー
小川糸さんは日常を大切に生きる達人、だから身近にあるものにこそ、こだわります。それが「幸せ」の基本だから。40代になってわかった、一生添い遂げられるものを、時間をかけて探す楽しみ。心地よい暮らしのために到達した、「少なく贅沢に」というキーワード。持ちものの数を減らすためのもの選びの工夫。それらに則って選ばれた、とっておきの道具や食材、家具などの品々を、初めてご紹介します。
■感想
小川糸の愛用品が紹介されている。料理をする際に愛用としているのは鉄鍋であったり、毛糸のミトンであったり。それに行きつくまでに様々な道具を試してみたが、結局これが一番というのを今現在も長く使っているようだ。
特に印象的なのは、ベルリンに住んでいるので日本食が恋しくなることがあるらしい部分だ。その場合にもっていく調味料が決まっているようだ。何か出来合いの調味料を使うのではなく、シンプルに醤油、味噌、みりん、酒、出汁。それらを組み合わせて工夫して料理しているというのがよくわかる調味料の数々だ。
その他印象的なのは、旅行に行く際の持ち物だ。非常にコンパクトなキャリーバックにすべてを収納させている。1カ月の旅行で、これほどコンパクトに収納できるのはすばらしい。衣類は10日分というのはなんとなくわかる。
旅を快適にするための様々な器具はあるにしても、そこまで嵩張る物ではないのだろう。旅慣れた人のスーツケースの中身だというのはわかる。海外生活では野菜が不足するからと、様々なフリーズドライの商品を持ち込んでいるのも経験のなせる業なのだろう。
物の紹介だけでなく、生活スタイルの紹介もされている。作家としての心構えというか、アウトプットを続けることの苦悩も語られている。ただひたすらに小説を書き続けることはしんどいようだ。人と会う仕事は必ず金曜日の午後にしているというのも生活の知恵なのだろう。
金曜日の午後からは週末気分になる。メリハリのきいた生活ともいえるかもしれない。長く作家として続けるには、マラソンのようにゆっくりとでも良いので同じペースで完走することが重要なようだ。
作品のイメージ通りの生活だ。