今夜はジビエ (幻冬舎文庫) [ 小川糸 ]
評価:3
小川糸おすすめランキング
■ヒトコト感想
小川糸が2022年の1年間をエッセイとして描いた作品。山小屋暮らしを始めた日々が描かれているのだが…。ちょうど離婚した時期と同じ時期なのだろう。作中の前半では旦那さんの記述がでてくるが後半では一人暮らしと犬のゆりねとの生活の描写が続いていく。このあたりで離婚したのだろう。
それに言及することなく、ひたすら山小屋生活のエッセイをつづっている。確かに山小屋生活というのは、都会生活と比べると大きな違いがあるのだろう。朝は森の中で鳥のさえずりを聞きながらの散歩。梅干しやピーナッツバターを手作りする。薪ストーブを眺めながらワインを楽しむ。なんて優雅な、と思うのだが実際にはジメジメして洗濯物が乾かないとか、冬は寒くて仕方がないなんて問題があるのだろう。
■ストーリー
朝は鳥の声を聴きながら愛犬ゆりねと森をお散歩。昼間は庭にハーブや野菜を植えたり、梅干しやピーナツバターを手作りしたり。夕方には近くの温泉に行き、夜は薪ストーブの前でワインを飲みながら音楽を聴く。いつか茶飲み友達ができたらいいなと思いながらも、今は孤独を楽しんでいる。山小屋での一人と一匹の暮らしを綴った日記エッセイ。
■感想
山小屋生活がメインとなっているエッセイ集。いつもの作者のエッセイでは、ベルリン生活など少し変わった日常が描かれている。今回も長野の山奥での生活が描かれている。このあたり山小屋生活をするにあたり、必要なものとして車があり、そのために車の免許をとったというのが別のエッセイ「いとしきもの~」で語られている。
かなり車の運転を避けてきた作者が決意した部分は別エッセイではあるのだが、本作ではゆりねと共に気軽にどこにでも車で出かけているというのがわかった。
序盤では旦那さんであるペンギンが登場してくるのだが、中盤以降ではまったく登場しない。それは作者が離婚していたからだった。離婚をきっかけとして山小屋生活に入ったのか、山小屋生活が離婚よりも先なのかは不明だ。作中では当たり前のようにゆりねとの一人と一匹生活と書かれている。
そもそもベルリンにいるときにも、半ば別居のような状態だったので、違和感はないのだが…。別作品ではそのあたりがそのまま描かれているので、作者のファンは驚いただろう。
山小屋生活の普通ではない良い部分だけが描かれている。ゆりねが思ったよりも都会の犬だということで、山小屋生活に苦戦しているのが面白い。車に乗るとどこか面白いところに連れて行ってもらえると、車の近くから離れないというのも良い。
騒がしいイメージのあるゆりねが、実は鹿におびえたり…。山小屋生活での楽しみなハプニングも描かれている。普通に都会の生活に慣れた者としては、この手の自然の生活は期間限定では良いが、ずっと続くと思うと、やっていけないような気がした。
作者のプライベートを知って読むと、また違った感想がでてくるのだろう。