孤独のススメ


 2025.9.13    規則正しい生活をする初老の男【孤独のススメ】


                     
孤独のススメ
評価:3

■ヒトコト感想
オランダの田舎町で生活するフレッド。妻が亡くなり、ひとりっきりの生活だが、決められた毎日のルーティーンを守って生活していた。そんなフレッドの元に突然謎の男デオがやってきた。ひょんなことからテオと二人暮らしを始めるフレッド。まず、フレッドの規則正しい生活が強烈に描かれている。毎日決まった時間に決まった食事をとる。きっちりとしたシャツを着て生活する。

だらけることやイレギュラーな出来事はいっさいない。唯一、テオの存在がフレッドを乱す。自由気ままなテオはフレッドとの思惑とは別の動きをする。突然ヤギの鳴きマネをしたりもする。頭に怪我を負い、自分が何をしているのかわからないテオとフレッドの不思議な日常だ。

■ストーリー
古きオランダの雰囲気を残す美しい村。そこに住むフレッドは、家族もなく友達もいない孤独な初老の男。彼の人生は、帰宅後にお気に入りの椅子でコーヒーを飲みながら、絶縁した息子が歌う「マリア」のテープを聴き、6時ちょうどに祈りを捧げてからメニューの変わらぬ食事をするという、同じ事を繰り返すだけの毎日。ただ食事の相手である妻と子供の写真が、唯一彼の寂しさを癒していた。

そんなある日、数日前にお金をせびられた無精ひげの男に、借金の肩代わりとしてフレッドは庭掃除を命じるのだが、男の仕事に取り組む熱心な姿に感心し、お礼として夕食をご馳走する。ところが、男は食前のお祈りも行わず、フォークやナイフも使えない。まるで子供のような振る舞いの男に呆れるフレッドだが、誰かと食事を分けあう行為が、彼の孤独な心に小さな灯りを灯し始め…。

■感想
苦み走った表情で常に眉間にしわをよせているフレッド。そこにテオという異物が入りこむことで、おかしなことが起きる。突然現れた得体のしれない男の面倒をみるフレッドもすごい。テオは見た目はただの中年オヤジだが、頭の中はまるで小学生のような感じだ。

目の前の食事を、祈りをする前に手をつけたり。テオの行動を少しづつ改善させようとするフレッド。ヤギが気になるテオは、いつのまにかヤギに見入ったりもする。そこからヤギの鳴きまねがうまくなり、コメディアンとして見られたりもする。

テオとフレッドは男二人で旅行に行こうとする。そこでテオのことを調査するうちに、実はテオは結婚していて奥さんがいることが判明する。フレッドはテオを連れて奥さんの元に向かうのだが…。テオが事故にあい、それにより脳に損傷を受けてよくわからない行動をとることがわかった。

奥さんはテオを制御することができずに、テオの気のすむようにさせているようだ。それにしても怪我をした旦那が行方不明になっても捜索願ひとつ出さないなんてのは強烈な夫婦関係だ。

フレッドとテオが生活していることを周りはよく思っていない。協会に足蹴く通う敬虔なクリスチャンなのかもしれないが…。周りはテオとフレッドが恋人同士だと勝手に思い込んでしまう。フレッドの心境が徐々に変わっていくのが面白い。

最初はめんどくさいと思っていたテオとの生活だが、テオがいなくなると逆にさみしく感じてしまう。テオとふたりでコメディアンのコンビとして芸をしていたのが、懐かしい感じとなっている。そして、ラストの息子との再会が感動的ですらある。

フレッドの心境の変化がポイントだ。



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