賢者の戦略 


 2026.2.19      当時のインテリジェンスの強烈さ 【賢者の戦略】


                     
賢者の戦略ー生き残るためのインテリジェンスー(新潮新書)【電子書籍】[ 手嶋龍一 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
2014年近辺の世界の情勢が語られている。イスラム国が台頭したあたりなので、イスラム国に対する危機感が語られている。それ以外にはウクライナとロシアの戦争前であり、ウクライナが武器輸出大国であることが語られている。また、興味深いのは当時のオバマ大統領や安部総理の関係性が語られている。特に安部総理が靖国に参拝した際の影響の大きさや、そこから日米の関係が悪化していくなど、様々な影響が語られている。

アメリカとシリアの関係についても、自らが引いたレッドラインをシリアが超えた際に、オバマが怖気づいてシリアに対して武力行使しなかったことが描かれている。過去のイラクの大量破壊兵器保有に対する武力行使の誤りが影響していたのだろう。

■ストーリー
無知なる者には「死」しかない――日本が生き残るための戦略とは? 我々は反知性主義にどう抗うべきか?「イスラム国」の台頭、中ロの新帝国主義路線、ウクライナ危機、拉致被害調査、集団的自衛権論争、東アジア情勢……混迷を極める最新国際情勢を「最強の外交的知性」がつぶさに分析し、衝撃の「全真相」を導き出す。

■感想
当時の世界の情勢の裏側というか、何が起きていたのかを佐藤優と手嶋龍一が語る。特に印象的なのは、その時々で日本が中国よりだったりアメリカよりだったりするということだ。また、ロシアとも密接に近づく時期もあれば大きく離れる時期もある。

ちょっとした談話の発表の仕方で、相手に対してシグナルを送ることになり、その結果、ロシアに対して日本は好意的に観られたりもする。別のタイミングではアメリカとロシアが同時に安部総理の靖国参拝を批判したりもする。この外交の機微が特に印象的に描かれている。

湾岸戦争時に、日本はダントツで資金を提供していたのだが、クウェートからは感謝されなかった。血と汗は流さず金だけをだした国は感謝されない。このことが日本の外交関係者にかなりダメージを与えたようだ。そもそも法律として自衛隊を海外派兵できないのは決まっていた。

それが足かせとなり湾岸戦争に参加できなかった。そのことを後悔しており、様々な手段を講じて集団的自衛権についての法律の解釈の変更を考えている。この流れは当時としては知りえなかった部分だ。

大統領が変われば、日本とアメリカの関係性も変わる。同じく日本の首相が変われば変わっていく。その時代により日米や日中の関係も大きく変化してきた。この時点でも台湾有事については日本は最重要だと考えられていたようだ。

中国と日本の関係の中で、尖閣諸島の話から始まり、台湾有事まで。アメリカがどのようなスタンスでいるかが中国にとっては大きな要因となる。日米の関係とは別に大統領がその部分について、どこまで踏み込んだ発言をするのか。

当時の外交関係を読み、今現在と対比するのも面白い。



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