川のある街 


 2025.2.4      川べりで起こる物語 【川のある街】


                     
川のある街/江國香織
評価:3
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■ヒトコト感想
「川のある街」を描いた3つのストーリー。1つ目は小学生視点の物語。2つ目はカラス視点の物語。3つ目は認知症の話。川のある街の物語であるだけで、それぞれの繋がりはない。それぞれの目線が異なるのでどの視点を気に入るのかは、その人の年齢やバックグラウンドによるのだろう。自分の場合は、どれもそこまでしっくりと来るものはなかった。

1つ目の物語は、どこか古き良き時代を感じさせる流れとなっている。叔母の家で相撲を見たり、のんびりとした日常の延長線上にあるような感じかもしれない。2つ目のカラスの目線は、カラスがどれだけ知能があるのかはおいておくとして、神社の水場でのカラスの行動というのはカラスの知能の高さを象徴するエピソードだ。

■ストーリー
ひとが暮らすところには、いつも川が流れている。両親の離婚によって母親の実家近くに暮らしはじめた望子。そのマンションの部屋からは郊外を流れる大きな川が見える。父親との面会、新しくできた友達。望子の目に映る景色と彼女の成長を活写した「川のある街」。河口近くの市街地を根城とするカラスたち、結婚相手の家族に会うため北陸の地方都市にやってきた麻美、出産を控える三人の妊婦……。

閑散とした街に住まうひとびとの地縁と鳥たちの生態を同じ地平で描く「川のある街 Ⅱ」。四十年以上も前に運河の張りめぐらされたヨーロッパの街に移住した芙美子。認知症が進行するなか鮮やかに思い出されるのは、今は亡き愛する希子との生活だ。水の都を舞台に、薄れ、霞み、消えゆく記憶のありようをとらえた「川のある街 Ⅲ」。

■感想
1つ目の物語は、シングルマザーと生活する小学3年生女子の物語。子供目線の物語であり、大人たちの会話をよく意味がわからないまま聞いている部分は、まさに自分も経験があったことなので、懐かしい気持ちになる。

なんでもない日常であり、叔母の家で相撲を見たりするくだりはノスタルジックな気分になる。親の離婚で母親の実家に引っ越してきたというのは、慣れない環境というのもあり、それなりにインパクトがあるのは間違いない。瑞々しく切り取られる日常の風景がよい。

2つ目の物語は、カラスの生態が物語として描かれている。メスのカラスがオスのカラスとどのような関係を築いていくのか。カラスが頭がよいのは理解しているのだが、乾燥したにぼしを神社の手水につけることでにぼしを戻しておいしく食べようとするというのが強烈だ。

カラスと対比するように、地方の女性とカラスの物語が描かれている。強烈なインパクトがあるわけではないのだが、そこからカラスの習性や特徴が描かれており、それなりに物語として面白くなっている。

3つ目の物語は、認知症を発症した人物の物語だ。様々な要素が入り混じっている。同性愛や認知症。特に認知症は普段から見慣れているはずの風景が、そこで初めて見るような風景となる。川のある街というと自分の場合、昔住んでいた場所が近くに小さな小川があり、そこに様々な人が散歩をしていた。

そのイメージでこの3作を読んでいた。水は人の気持ちを落ち着けさせる効果があるのだろうか。非常に心が落ち着いた良い散歩コースのような気がした。そんな印象が強い。

3作品は同じ川をイメージして読んだ。



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