完全なるチェックメイト【Blu-ray】 [ ピーター・サースガード ]
評価:3
■ヒトコト感想
実在したチェスの天才の物語。アメリカとソ連の冷戦時代にチェスでの代理戦争が行われていた。印象的なのはチェスの天才であるフィッシャーは、精神的に問題があり、少しの物音にも過敏になる場面だ。非常にやっかいで周りからしたら扱いずらい存在だ。実は同じくソ連のチャンピオンであるスパスキーも若干の精神疾患があるようなそぶりがある。
チェスのように何万通りもパターンのあるテーブルゲームの天才は、頭の作りが異なり、何か普通ではない状況になっているのだろう。カメラの音や観客の咳の音がうるさいので、密閉された卓球場で勝負したいと無理難題を突き付けたり。フィッシャーはチェスの天才かもしれないが、社会不適合者であることは間違いない。
■ストーリー
米ソが世界を二分していた冷戦時代。1972年にアイスランドのレイキャビクで開催されたチェスの世界王者決定戦は、両国の威信をかけた“知"の代理戦争として世界中の注目を集めていた。タイトルを24年保持してきたソ連への挑戦権を獲得したのは、アメリカの若きチェスプレイヤー、ボビー・フィッシャー。IQ187を誇る天才で15歳にして最年少グランドマスターとなった輝かしい経歴の持ち主だが、その思考は突飛で、行動は制御不能。
謙虚さのカケラもない自信家で、自分の主張が通らないと大事なゲームすら放棄する。そんなモーツァルトにたとえられる奇行の天才が相対するのは、最強の王者、ソ連のボリス・スパスキー。対局一局目、スパスキーに完敗するフィッシャー。残り二十三局、絶対不利と見られたフィッシャーは極限状態の中、常軌を逸した戦略をうちたてる。二大国家の大統領もフィクサーとして影で動いたと言われる、歴史を揺るがす世紀の一戦で生まれた、今尚語り継がれる<神の一手>の真実が明かされるー!
■感想
幼いころからチェスの天才として名前をとどろかせてきたフィッシャー。子供のころから普通でないのは間違いない。大人たちを相手にチェスで勝ちまくり、たまに負けると大泣きする。圧倒的に嫌な青年に成長するフィッシャー。
自信家で謙虚のかけらもない。フィッシャーをマネージメントする男はかなり大変だというのがよくわかる。フィッシャーは気まぐれで、気分屋だ。フィッシャーのお守り役である神父はフィッシャーとチェスのトレーニングをしたり、フィッシャーの気分を落ち着ける役割をしている。
アメリカとソ連の冷戦の最中にチェスでは圧倒的にソ連が優勢だった。世界チャンピオンもソ連のスパスキーであり、周りもソ連の強豪に囲まれている。そんな中にアメリカの希望であるフィッシャーがソ連の強豪たちを次々と破っていく。
アメリカからするとチェスでの勝利を冷戦の勝利に置きかえているのだろう。ソ連は自分たちこそがチェスという頭脳ゲームでの勝利者という思いが強い。そのため、国を挙げてスパスキーを支援している。もはや国同士の対決という様相が強い。
ラストのスパスキーとフィッシャーの勝負は強烈だ。先に12ポイントとった方が勝ち。勝利は1ポイントで引き分けは0.5。その戦いではフィッシャーのわがままが爆発する。周りの音がうるさいのが気になり集中できないと戦いを放棄する。
スパスキー側からすると勝てないから難癖をつけていると思ってしまう。そこから、フィッシャーは希望通り卓球室の中での勝負でスパスキーに勝利する。ここまでのフィッシャーの異常さばかりが気になっているが、スパスキーも精神に異常があるような雰囲気がある。
晩年のフィッシャーは気難しいお爺さんそのままだ。