ジウ1 警視庁特殊班捜査係 


 2026.3.2      女性二人の特殊な刑事たちの物語 【ジウ1 警視庁特殊班捜査係】


                     
新装版 ジウ1 警視庁特殊犯捜査係 (中公文庫 ほ17-14) [ 誉田哲也 ]
評価:3.5
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■ヒトコト感想
特殊班捜査係に所属する二人の女性が主人公のシリーズ第一弾。美咲は背が高く女性らしく男受けするおっとりしたタイプ。対して基子は柔道とレスリングを得意とし、過去に人を殺したことのある武闘派。そんな二人が対比するように描かれつつ、誘拐事件の首謀者であるジウを追いかける物語だ。本作でジウは捕まることはない。

警察組織内部の特殊な事情や女性だからという、男社会内部での女性の存在が描かれている。強烈なのは基子だ。まるでマシーンのように冷静に相手を制圧する。周りの同僚たちに対しても実戦を理解していないと馬鹿にしているのだが、能力のある者は一目置いている。ラストでの誘拐犯が立てこもるビルへの突入シーンは手に汗握る展開だ。

■ストーリー
都内の住宅地で人質籠城事件が発生。所轄署や捜査一課をはじめ、門倉美咲、伊崎基子両巡査が所属する警視庁捜査一課特殊犯捜査係も出動した。人質解放への進展がない中、美咲は差し入れ役として、犯人と人質のもとへ向かうが……!? 籠城事件と未解決児童誘拐事件を結ぶ謎の少年、その背後に蠢く巨大な闇とは? 〈ジウ〉サーガ、ここに開幕!!

■感想
冒頭で誘拐犯を追いかける描写が続く。主任の東が必死に犯人から指示を受ける母親を追いかける。息子の切り取られた指を見た瞬間、母親は我を失い刑事を巻いて犯人の言うとおりに動き出す。ここでの誘拐犯逮捕の失敗が、後の事件につながっていくことになる。

中盤までは美咲と基子は同じ特殊班捜査係(SIT)に所属しながら、その仕事の仕方が対照的な部分が描かれている。美咲は何度か立てこもり犯の説得に成功している。基子は格闘で犯人を制圧している。この二人のキャラ立ち具合がすさまじい。

印象的なのは基子がSATにスカウトされてからだ。ある事件での失態で美咲は所轄に飛ばされ、基子はSATへと加わる。基子の過去が語られ、そしてSAT内部での基子の立ち位置も決まってくる。SATの訓練の厳しさの中でも、基子だけは常に実戦を意識して死ぬか生きるかでトレーニングしているというのがわかる。

冷静な基子の中の熱量がすさまじい。その能力に一目置く雨宮という存在もまた、雨宮といるとき時だけ基子に人間らしい部分が垣間見えている。二人のキャラへエピソードが付け加えられるほどに魅力がわいてくる。

ラストの誘拐犯たちが立てこもるビル内での戦いは強烈だ。美咲の上司への恋心だとか、周りとの関係性。危険な任務へのチャレンジもあるのだが…。すさまじいのは雨宮と基子のエピソードだ。特に基子はひたすら制圧マシーンとして犯人たちをたったひとりでボコボコにしている。

やりすぎと思われるほど痛めつける。逆に雨宮は自分の任務に忠実となり、人質の命を守ることを第一に考える。この違いが、大きな結果の違いを生むことになる。雨宮と基子のポジションが逆であれば違った結末だったろう。

次巻を読むのが待ち遠しすぎる。



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