人生スイッチ


 2025.6.15    怒りを抑えられないために大惨事となる【人生スイッチ】


                     
人生スイッチ [ ダリオ・グランディネッティ ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
アルゼンチンとスペインの共同制作のアンソロジー。6編の短編映画が収録されている。どれも怒りや復讐の印象の強い作品となっている。後味の悪い作品もそれなりにあるが、なんだか妙にコメディチックになってしまっている作品もある。短いながらも切れ味鋭い作品が多い。何も知らずに冒頭の「おかえし」を見て衝撃を受けた。

最初は飛行機で隣の人との会話で、共通の友人であるガブリエルの話で盛り上がっていると、次のタイミングでは、後ろの席もガブリエルのことを知っていると語る。そして、次々と反応する人々。そして、この機内にはガブリエルの知り合いばかりだと判明する。そこから飛行機が墜落しそのままガブリエルの両親が住む場所と思われる家に墜落するのが強烈だ。

■ストーリー
仕事の依頼を受けて、指定された飛行機に乗ったファッションモデルのイザベル。話しかけてきた隣の席の男、サルガードが、彼女の元カレ“パステルナーク"のことを知っていた。ところが、元カレの名前を口にした途端、「小学校の教え子だった」「同級生だ」「元部下だ」と乗客全員が彼と関わりがあることが判明。しかも、みんな彼にひどい仕打ちをしていた。息をのみ顔を見合わせる乗客たち。そのとき、CAが発した一言が、機内の空気を凍らせた―。

■感想
「パンク」は強烈だ。高速道路でのトラブルからお互いの殺し合いに発展する物語だ。高級セダンの男の車のタイヤが外れた。それを見たトラックの運転手は降りてきてセダンの男をあおり、フロントガラスに攻撃を加えたりする。

それに怒り狂ったセダンの男は、トラックをセダンで押してそのままトラックを川に落としてしまう。ここで終わったかと思いきや、セダンの男はトラックの運転手をひき殺そうとする。その後、お互いが自業自得でボロボロとなる。。そして、最後は…。ほんの少しの怒りが大惨事につながる物語だ。

「ヒーローになるために」は市民の声を代弁しているような物語だ。車の駐車違反によるレッカー移動に怒りを募らせる。最終的には怒りの抗議をすることにほとんど意味はなく、自分に災難が降りかかってくるだけだ。

それを理解しながらも、男は抗議をやめないのだが…。男が爆弾処理の担当者というのが物語のポイントだろう。レッカー移動されたことへの市民たちの恨みを晴らすかのうような行動が、最終的には周りから支持を受けることになり…。意外な結末だ。

「愚息」は金持ちが自分の息子が起こした交通事故をどうにかして使用人のせいにして逃れようとする物語だ。こうなると、金の力で弁護士や検事と使用人を巻き込もうとする。最初はそれでうまくいっていたのだが、相手が次々と増額を要求してくるので、男はキレてもうやめるという。

息子にすべて正直に話をさせて、知らないふりをすると語るのだが…。最終的には落としどころが決まったのだろう。無事に金の調整がついて、使用人が犯人として屋敷から出ていくのだが…。自業自得のような感じだ。

短編だが切れ味鋭い物語ばかりだ。



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