池袋NO NAME 池袋ウェストゲートパーク21 


 2026.6.2      トクリュウ犯罪のすさまじい仕組み 【池袋NO NAME 池袋ウェストゲートパーク21】


                     
池袋NO NAME 池袋ウエストゲートパーク21 [ 石田衣良 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
IWGPシリーズの第21弾。4つの短編が収録されている。定番だが社会問題をそのまま物語化しているのと、Gボーイズが最後の始末をつけるのはワンパターンだが、テーマが新しいので新鮮さがある。20年以上続くシリーズであり、マコトやタカシはいつまでも年齢は変わらない。時代だけが変わっていく感じだ。

犯罪の変化やマコトたちの身近にあるデジタル機器も様々に変化している。まだAIについては登場してこないが、いずれはAIのディープフェイクなどの題材も扱われることだろう。ライバー問題やルッキズムなどは一昔前では絶対にでてこないテーマだ。闇バイトについてもITが発達した世界だからこそ、成り立つ物語なのかもしれない。

■ストーリー
「おれたちはみんな自分をとことん安く売るようになったよな」池袋で何件も強盗事件を起こしているトクリュウ(匿名・流動的犯罪グループ)の「池袋NO NAME」。Gボーイズのメンバーが闇バイトの罠に嵌り、強盗の実行犯として逮捕された。強盗の罪は重く、長期の懲役刑を受けることになりそうだ。タカシは「池袋 NO NAME」の元締めを突き止めて罪を償わせることを決め、マコトを含めた4名を潜入捜査させることに。

しかし誰とも直接の接触を持たない元締めを見つけることは困難を極め……マコトが見つけた糸口とは? (表題作)その他「北口オーバードーズ」「池袋二丁目サウナセンター」「中板橋ルッキズム」の短編3作を収録。時代の最先端のその先へ。

■感想
表題作でもある「池袋NO NAME」は強烈だ。トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の仕組みが良くわかる流れとなっている。いつの間にか闇バイトに加担させられ、相手に情報を握られているので拒否できない状況となる。

断ると制裁を行う者たちがやってくるのだが…。それすらも闇バイトで募集された者たちだった。こうなると、黒幕に近づく手がかりはないに等しい。作中でも、黒幕にたどりつけたのは偶然の要素があっただけ。これが世間にはびこる闇バイトのすさまじい部分だ。

「北口オーバードーズ」は、市販薬の過剰摂取によるトリップを楽しむ者たちの物語だ。「87分の1の人生」という映画を見たのだが、それに近い薬物中毒だ。市販品の中毒になるのはアメリカ人だけかと思っていたが、日本でも当たり前に存在しているのだろう。

薬局の息子が自分の店の薬を横流しする。こうなると、マリファナや覚せい剤の密売と同じように、中毒者をいたずらに増やしていることに変わりはない。適量を守れば、正しく効能を示す薬であっても、過剰摂取は危険だということだ。

「中板橋ルッキズム」では、容姿に自信のないライバーがストーカーに付きまとわれる物語となっている。容姿に自信がなくともライバーとして投げ銭により儲けようとする。矛盾しているようだが、上を見ればきりがないし、容姿を気にする人ほど、変に自信があるパターンもある。

その他、「池袋二丁目サウナセンター」ではLGPTの話が登場してくる。当たり前のように身近にLGBTの人は10人に1人いるらしい。自分がたどったのと同じように中年で金をもったゲイは、若いゲイに経験や金を貢いだりする。すごい世界だ。

時代の今を感じる物語だ。



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