変な家 


 2025.5.12      オチがわかるまでが恐怖のピークだ 【変な家】


                     
変な家 文庫版 [ 雨穴 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
変な家の間取りから物語はスタートする。この不気味な間取りから、何の目的で作られたかまでを想像するくだりが最高に恐ろしい。この部分が本作のピークだろう。正体不明の家族が生活していた変な間取りの家。その前に住んでいた家も同じように変な間取りだった。何も用途のない隙間。この隙間を伝って部屋から部屋に移動するなんてのは間取りからは想像できない。

二次元の間取りを三次元で考える工夫がすばらしい。そして、変な間取りから想像される奇妙な出来事と、バラバラ死体。間取りの謎が解き明かされ、その理由が判明すると途端にただのホラー物語となっている。それまでの間取りの不気味さからすると、後半のホラー物語はとんでもなく平凡に感じてしまった。

■ストーリー
知人が購入を検討している都内の中古一軒家。 開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に 「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、 この家は、 そこかしこに 「奇妙な違和感」が存在すると言う。不可解な間取りの真相とは!?突如消えた元住人は一体何者!?

■感想
奇妙な家の間取りを見て、なんだかおかしいと感じ、その間取りの家で何が行われていたかを想像する。部屋と部屋の間にちょっとした隙間がある。入口も窓もない空間。2Fはさらに子供部屋が二重扉になっており、窓のない子供部屋が真ん中にある。

この奇妙な家の間取りは2次元なので、間取りだけを見ても想像するのは難しい。ただ、作中の人物が3次元で家の間取りを想像し、二重扉で軟禁されているような部屋から穴が1階に空き、何もない空間を通って洗面所にたどり着く。とんでもない想像力だ。

なぜそんなヘンテコな部屋となったのか。その推理もすさまじい。理由はわからないが、子供が軟禁され、誰にも見られない状態の子供が洗面所にいる人物を殺害し、そのまま、効率的に死体を外にだすための間取りとなっている。

実はその変な間取りの家に住んでいた家族が、その前に住んでいた家についても語られている。家の間取りは相変わらず変であり、それについても考察されている。変な間取りには理由があり、ある目的のための作られた家。そして、伝統ある儀式は過去にさかのぼることで実行されるのだが…。

終盤になると、変な家の家族の関係者から過去の伝統が語られる。過去のある因縁からその因習が現代まで続いており、そこから強烈なインパクトのある変な家につながる。それまでの変な家の間取りの恐怖感と比べると、明らかに恐怖が現実的であり、オチがわからない方が恐ろしいという皮肉な展開となっている。

続編があるようだが、この手の間取りの奇妙さというのは、勝手に想像している間は、恐怖が倍増するような気がした。オチがわかるまでがピークかもしれない。

続編を読むかは微妙だ。



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