8番目の男


 2025.12.1    陪審員が真実を見つけ出す【8番目の男】


                     
8番目の男 [ ムン・ソリ ]
評価:3

■ヒトコト感想
韓国初の陪審員制度が開始される。ある意味セレモニー的な意味合いがあるので、すでに被告人が罪を認めている事件で、量刑を決めるだけの裁判のはずだったのだが…。陪審員として集められたのは年齢性別がバラバラな8人。そこに遅れてやってきた8番目の男が事態を大きく動かすことになるのだが…。

母親を自宅のマンションから突き落とした罪に問われた男。突き落とす前にハンマーで頭を殴打し、殺害してから落としたと思われたのだが…。犯人が自供している場合は、あまり綿密な捜査をされない。そのため、陪審員たちが話し合いをしている中で、次々と新たな疑義がわいてくる。陪審員たちが自分たちの信念を貫き裁判長の思惑すらも超える結果となる。

■ストーリー
国民が参加する裁判が歴史上初めて開かれる日。大韓民国初の陪審員になった、年齢も職業も異なる8名の普通の人々の前に置かれた事件は、証拠・証言・自白まで揃った明白な殺害事件。被告人がいきなり嫌疑を否認したため、陪審員たちは急きょ有罪無罪の決断を迫られることになる。誰もが困惑する中、裁判長は裁判を進めようとするが、8番陪審員ナムをはじめとする陪審員たちの突発的な行動により裁判は予期せぬ方向に進んでいく。

■感想
韓国初の裁判員裁判で集められた裁判員たち。量刑を決めるだけの簡単な裁判のはずだったのだが…。裁判の場で突如として被告人が容疑を否認し始める。原理原則を大事にする裁判長は困惑する。そして、有罪か無罪かの判断を裁判員に任せることについて困惑する。

裁判員たちも、量刑を決めるだけのはずだったのが…。有罪から無罪へと変化するのか。観衆は裁判員と同じように、この事件について様々な新事実がでてきたことで状況は変化していく。

8番目の男が事態をかき回す。早く帰りたい秘書室の男は、有罪でけりをつけようとするのだが…。8番目の男は犯人が火傷のせいでハンマーが握れないのではないかと提案し始める。そして、ハンマーで殴打できるかの実験をするのだが…。

犯人がハンマーを振り下ろした結果、ハンマーはすっぽ抜けて裁判長の首元をかすってどこかに飛んでいっている。それ以外にも、被害者は実はハンマーで殴打されたのではなく、落下した際に頭を打って死亡したのかもしれないと状況が変わっていく。

犯人がなぜ真実を述べずに最初に罪を受け入れようとしたのか。何もかも人生が嫌になったのだろうか。生活保護の申請での筆跡から、実は母親があえて書いた可能性が高くなる。となると、母親がいなければ生活保護の申請が通るという動機がなくなる。

8番目の男を中心にして、陪審員たちが独自の見解を作り上げる。裁判でのラストの展開は少し感動的ですらある。犯人が罪を認めていた場合は、綿密な裏付け捜査がされないというのは大きな欠陥だろう。

強烈なインパクトのあるラストだ。



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