花まんま


 2025.10.22    妹の中に別の人格が入り込む?【花まんま】


                     
花まんま 通常版 [ 鈴木亮平 ]
評価:3

■ヒトコト感想
俊樹とフミ子の感動物語。全編小気味よい関西弁が続いていく。結婚を控えたフミ子。兄として妹のフミ子を無事に送り出せることに満足感を得ている俊樹。関西弁が飛び交う仲の良い兄妹の物語かと思いきや…。途中からフミ子に別の家族が存在するという流れとなる。事の発端はフミ子が7歳のころに、生まれ変わりと思わしき言動をしたことにある。

バスガイドとして仕事をしていた繁田喜代美が、暴漢に襲われた乗客を助けるために犠牲となった。その喜代美の意識がフミ子に入り込んでおり、フミ子は知らないはずの喜代美の父親である繁田仁と会うことになる。俊樹からすると見ず知らずの家族がたったひとりの妹の家族だと言われたら面白くないのは確かだろう。

■ストーリー
大阪の下町で暮らす二人きりの兄妹・俊樹とフミ子。死んだ父との約束を胸に、兄として妹のフミ子を守り続けてきた俊樹は、フミ子の結婚が決まり、やっと肩の荷が下りるはずだった。ところが、遠い昔に封印したはずの、フミ子の〈秘密〉が今になって蘇り……。

■感想
幼いころに父親を亡くし、ほどなくして母親も死んでしまう。俊樹とフミ子の二人の兄妹は助け合って生きてきたのだが…。フミ子が結婚することになり、兄の俊樹はどこかソワソワしている。小気味よい関西弁が飛び交う生活。

俊樹は憎まれ口をたたいてはいるが、本心ではフミ子が嫁ぐのをさみしいと思っているのだろう。そんなときに、フミ子が怪しげな動きをし始める。実は幼少期にフミ子は繁田喜代美の生まれ変わりだと思い込んでいた節があった。俊樹とふたりで東大阪から彦根まで繁田の家に行くというのも強烈だ。

俊樹の気持ちはよくわかる。一生懸命育てた妹が、いつの間にか見ず知らずの繁田の家の子供として扱われていたら怒りがわいてくるだろう。亡くなった両親への思いもあるのだろう。フミ子がひそかに繁田仁と文通していた痕跡を見つけて激怒して彦根に怒鳴り込んでいる。

フミ子としては自分が結婚するということを繁田喜代美の父親である仁に報告しておきたかったのだろう。それぞれの思いはよくわかる。フミ子の結婚相手が何も言わないのなら、ある程度容認してもよいのでは?と思わずにはいられない流れだ。

頑固な俊樹も、様々な状況から考え方を変え始める。フミ子の結婚式の当日に彦根の繁田仁や喜代美の兄弟たちを結婚式の場所にまで連れてきたりもする。結婚の直前に不幸な死を遂げた喜代美の無念の思いを仁たちはわかっているだけに、感じるものがあるのだろう。

俊樹はすべてを許して繁田家を結婚式場につれてくるのだが…。フミ子の心の中の喜代美は、フミ子が結婚するタイミングで消え去っていた。そのため、仁の姿を見ても誰かわからないと答えるフミ子の場面は強烈なインパクトがある。

最後はハッピーエンドと言ってよいのだろうか?



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