ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち [ ジェシー・アイゼンバーグ ]
評価:3.5
■ヒトコト感想
NYからカンザスまでを光ケーブルでつないで、今までより1ミリ秒早い取引が可能となる。そんなミリ秒単位の改善が大きな利益になる世界の物語だ。株取引において1ミリ秒のアドバンテージが重要だということにまず驚いた。光ケーブルを直線で引き、なおかつコードを工夫することで最速を目指す。光ケーブルを直線で引くというとんでもないことをやってのけようとする。
用地買収や工事でのトラブル。そして発起人であるヴィンセントに胃癌が判明する。大規模なプロジェクトを実行する上でのトラブルはプロジェクトXを見ているような感じだ。いとこのアントンが地味な作業をくり返し1ミリ秒の短縮を目指している場面もよい。ワクワクするような物語だ。
■ストーリー
アメリカ金融界に衝撃を与えた、株取引勝率100%のプロジェクト!カンザスNY間1,600kmを一直線に貫く通信回線を敷設し、【0.001秒の短縮】に熱狂した男たちの実話を映画化!!
■感想
証券取引ではミリ秒単位の差で優劣が決まる。確かに言っていることは理解できるのだが、それが1ミリ秒を短縮するためにカンザスからNYまで光ケーブルを引いくために動き出す。数十億円の資金を投入しても実現したいこと。
コードの工夫により1ミリ秒を短縮するのは非常に困難なのだが…。元の会社の上司の妨害や、ライバル企業が別の方式でスピードを短縮する可能性があるなど、強烈なインパクトがある。何より1600キロもの距離を直線で光ケーブルで突っ切るというのはとんでもない計画だ。
データセンターから証券取引所までの直線距離の土地を買収する。例え見えない地下の土地だとしてもトラブルになることはある。ヴィンセントは巧みな話術で買収を進めていくのだが…。家の地下を30cmほど買収して光ケーブルをとおす。
工事が困難な山の中で、巨大な機器を特殊なへりで運んで工事を決行する。すばらしいコードを書いて、光伝送装置での短縮を工夫する。それだけやったとしても、ライバル会社が鉄塔を立てて、無線でのデータでスピードを短縮したりもする。
強烈なライバルたちとの競争。そんな中で出資者からのプレッシャー。ヴィンセントは胃癌を患いながら、その治療は後回しにしてでも光ケーブルを引こうとする。
最終的にはケーブルを引いて目的のスピードを達成できたのだが、ライバル会社が別の方式でそれ以上のスピードを実現していたというのはかなり皮肉だ。体がボロボロになり人生をかけたプロジェクトに失敗する。ここまで巨額をかけ、さらには多数の人たちを巻き込むPJとは、どういった気持ちなのだろうか。
プロジェクトX的なワクワク感がある。