ハケンアニメ


 2025.4.11    アニメの監督はつらいよ【ハケンアニメ】


                     
ハケンアニメ!【Blu-ray】 [ 吉野耕平 ]
評価:3

■ヒトコト感想
辻村深月原作の映画化。アニメの新人監督や天才監督の苦悩を描いている。アニメ業界はブラックだというイメージだ。それを納得させるような流れもある。結局は何が正解かわからない、クリエイティブな世界であれば、全権を握っている監督が納得するものを作るしかない。ただ、そう簡単に監督の思い通りにいくわけではない。いくら天才と騒がれた監督であっても作品を生み出す際の苦悩はすさまじい。

逃げ出したくなるようなプレッシャーと苦しみが伝わってきた。それと共に映画監督はアニメだけを作っていれば良いわけではない。様々なプロモーションや雑多な打ち合わせにも参加せざるお得ない。かなりのハードな仕事であることは間違いない。

■ストーリー
連続アニメ『サウンドバック 奏の石』で夢の監督デビューが決定した斎藤瞳。だが、気合いが空回りして制作現場には早くも暗雲が…。瞳を大抜擢してくれたはずのプロデューサー・行城理は、ビジネス最優先で瞳にとって最大のストレスメーカー。「なんで分かってくれないの!」だけど日本中に最高のアニメを届けたい!そんなワケで目下大奮闘中。最大のライバルは『運命戦線リデルライト』。瞳も憧れる天才・王子千晴監督の復帰作だ。

王子復活に懸けるのはその才能に惚れ抜いたプロデューサーの有科香屋子…しかし、彼女も王子の超ワガママ、気まぐれに振り回され「お前、ほんっとーに、ふざけんな!」と、大大悪戦苦闘中だった。瞳は一筋縄じゃいかないスタッフや声優たちも巻き込んで、熱い“想い”をぶつけ合いながら “ハケン=覇権” を争う戦いを繰り広げる!!その勝負の行方は!? アニメの仕事人たちを待つのは栄冠か? 果たして、瞳の想いは人々の胸に刺さるのか?

■感想
新人監督の斎藤瞳。瞳が尊敬する天才監督の王子。同じ時間帯にそれぞれがアニメを作ることになる。対決する形のふたり。それぞれが覇権アニメを作るために必死になる。アニメ業界のブラックさと監督の大変さがこれでもかと描かれている。

突発的な雑誌の取材や絵を描く仕事。アニメの宣伝のためには実力ある絵師に描いてもらう必要があるのだが…。デート中であっても呼び出されて夜中に絵を描く仕事をする。天才監督は、失踪したかに思われたのだが…。ハワイでプロットを考えていた(それは建て前で、実際はホテルに缶詰めになっていた)とてつもない環境だ。

アニメのプロデューサーも大変だ。監督が失踪したらテレビ局からつめられる。監督の無理難題に答えるのもプロデューサーの仕事。納期が迫った仕事を受けてくれるスタジオを探すのもプロデューサーの仕事。いくら天才監督とはいえ、ここまで振り回されるのは辛いだろう。

逆にアニメがヒットするためには、あらゆる手段を使うプロデューサーもいる。瞳をあちこちに連れまわして露出を増やし話題にしようとする。さらにはカップラーメンとコラボしたりもする。

正解はないが、どうすればよい作品となるかをひたすら考え続ける監督。ブラックな仕事であることは間違いない。情熱がなければできない仕事だ。監督の情熱は周りに伝搬し、周りの協力があってこそ作品として成立する。なので、監督はスタッフたちにも好かれなければならない。

一度失敗すると二度とアニメを作れなくなる。原作がないオリジナルなアニメをいちから作り上げる監督は、相当貴重なのだろう。本作を見てアニメ業界に入りたいと思う人もいるかもしれないが…。実際はとんでもなく泥臭くブラックな職場だと思う。

熱血スポコン物に近い雰囲気だ。



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