碁盤斬り [ 草ナギ剛 ]
評価:3
■ヒトコト感想
囲碁がメインの物語。浪人の柳田は曲がったことが嫌いな堅物だ。囲碁の勝負でも、相手の打ち方が気に入らないと途中で自分を負けにして勝負をやめてしまう。清廉潔白な柳田はいかにも悪徳商人という感じの源兵衛と囲碁を通じて仲良くなる。ここまでは柳田の正義感や性格の良さのようなものが存分にアピールされており、源兵衛もそこまで悪い男ではないような印象となってきたのだが…。
後半からはまるで柳田が別人のように様変わりしている。嫁の敵を見つけ出したというのはあるが、それだけでなく源兵衛の息子から50両を柳田が盗んだと疑われてから、かたくなになっているような気がした。ラスト近辺での柳田の変貌ぶりは強烈なインパクトがある。
■ストーリー
浪人・柳田格之進は身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われ、娘のお絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らしている。しかし、かねてから嗜む囲碁にもその実直な人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心掛けている。ある日、旧知の藩士により、悲劇の冤罪事件の真相を知らされた格之進とお絹は、復讐を決意する。お絹は仇討ち決行のために、自らが犠牲になる道を選び……。父と娘の、誇りをかけた闘いが始まる!
■感想
序盤の柳田は貧乏ながらも必死に生きる清廉潔白な男というイメージが強い。囲碁に強く、そこらの相手では柳田には勝てないというのがわかってくる。金に厳しい源兵衛に対しても、最初は嫌悪感を隠さない柳田だったが一緒に囲碁を打つうちに仲良くなり、いつのまにか家族ぐるみの付き合いとなる。
柳田の娘と源兵衛の息子が良い雰囲気になったりもする。柳田がなぜ貧乏浪人になったのかの説明が中盤に行われる。そこで柳田の敵である柴田の消息が明らかとなるのだが…。
柳田が浪人となった原因の男の柴田が、実は柳田の妻が自殺した際の原因にもなっていたと知る。そこで柳田は怒りに震え、柴田を倒すために江戸を離れるのだが…。ここから柳田が変貌する。源兵衛との囲碁の場で50両もの金が行方不明となる。そこで柳田が盗んだのではないかと嫌疑をかけられるのだが…。
柳田は明らかに自暴自棄になる。冷静に自分の潔白を証明すればよいだけのはずが、なぜか娘を遊郭に売ってまで50両を用意しようとする。
娘を遊郭に売り、かたき討ちのために旅をする。そこからはひげ面の柳田の復讐の旅となる。柴田と再会し囲碁の勝負で命を賭ける。そして…。柴田を倒し50両の濡れ衣も晴れた際でも柳田の横暴は止まらない。
最終的にはすべて丸く収まり、めでたしめでたしとなるのだが…。それまでの柳田の正義に対する強烈な固執はやりすぎのように感じた。序盤の心優しい柳田の雰囲気と、後半の鬼気迫るやりすぎの柳田はまるっきり別人のように思えてしまった。
鬼気迫る柳田の表情が印象的だ。