普天を我が手に 第三部 


 2026.8.16      昭和を彩る実在の人物たちが登場する 【普天を我が手に 第三部】


                     
普天を我が手に 第三部 [ 奥田 英朗 ]
評価:3.5
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■ヒトコト感想
壮大な物語もついに最終巻となる。昭和元年に生まれ、昭和の終わりまでを描いた本作。4人それぞれが司法、実業、報道、娯楽と道は違えど、激動の昭和を経験しながらたくましく生きている。最終的には4人とも政治家になっているというのが何かを象徴しているようだ。昭和に実在した人物と思われるキャラクターも登場してくる。微妙に名前を変えているのだが、誰をモデルにしているのかは明らかだ。

あのナベツネが渡部として登場してくるのだが…。どのようにして政治内部に入り込んでいたのかがよくわかる。主人公の4人は架空の人物だとして、それ以外が昭和の象徴的な人物となっており、事件も実在の事件をモデルとしているのでかなりの臨場感があるのは間違いない。

■ストーリー
司法、実業、報道、娯楽。たった七日間しかなかった昭和元年に生まれた四人の子どもは激動の戦後日本を生き抜き、それぞれの道で時代を創り上げる。昭和という時代そのものを克明に活写した超大作、感動のクライマックス!竹田志郎は、東京大学法学部を卒業後、晴れて検事となる。戦後の発展のウラで苦しむ人々を救い、私腹を肥やすものを糺すべく、公害訴訟や政治汚職事件にひるまず立ち向かう。

矢野四郎は、自身の事業を成功させるとともに大物政治家にも可愛がられ、右翼の大物となる。やくざが淘汰されゆくなかでも国士である意志は一層強く、故郷・石川より衆院選に出馬する。森村ノラは、GHQでの経験からAP通信の特派員となるが、その後「大日本テレビ」の女性記者に転職する。結婚し育児にも励みながら、ベトナム戦争の取材を敢行するなど、持ち前の活力で奔走する。

五十嵐満は、自身の芸能プロダクションを興す。気鋭バンドのプロモーション、プロレス興行への参入、世界的ミュージシャンの来日公演など、戦後大衆文化の中核を担う存在となる。大河のごとき昭和史サーガ三部作、ここに完結!

■感想
竹田志郎は検事となり、巨悪を退治しようとする。恐らくだが、ロッキード事件を描いているのだろうが、金満政治が許せないという強い思いを感じることができる。そんな志郎も、検事としてのできることの限界を知ると最終的には政治家となり、四郎と総理大臣の座を争うまでになる。

そして、総理として昭和天皇の崩御を見守ることになる。物語として正義の志郎と、ヤクザであり清濁併せのむ四郎という対比があったのだが、後半では四郎も正義の政治家という雰囲気になっている。

森村は特派員となり、テレビの女性記者となり時代を報道していく。一番波風の少ないキャラクターなのかもしれないが、女性として何に対しても女性初という冠がつくことの不幸を嘆いている。昭和の時代はまだ男尊女卑が当たり前の時代ということで、森村の役割は重要なのだろう。

何をするにしても女性だからと差別されることに、強烈に反発し、最終的には土井たか子にスカウトされて政治家となる。社会党の女性議員というと何人か思い当たるのだが…。

五十嵐はエンタメということで、プロレスのスタートを描いている。ここで力道山をモデルとする錦川が登場する。エンタメの世界ではヤクザとの関わりを避けることができない。それ以外にも右翼だとか左翼だとか、谷町だとか、アメリカとの関係やCIAとの関係まで。

政治家にはどこまでCIAの力が及んでいるのか。あくまでも作者の想像ではあるが、これこそが、まさに昭和の時代をそのまま描いているような雰囲気すらある。本作は昭和を知らない世代にも刺さることは間違いない。

昭和を描いたとんでもない物語だ。



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