ECHOES 木霊 


 2025.1.1      3刀流をこなす作者の器用さがわかるエッセイ 【ECHOES 木霊】


                     
ECHOES-木霊- /幻冬舎/辻仁成
評価:2.5
辻仁成おすすめランキング
■ヒトコト感想
辻仁成のエッセイ。様々な活動をしており、音楽以外でも映画を撮影したりもしている。エッセイの中で印象的なのは、韓国での映画撮影の部分だ。日韓の関係が微妙な時期に韓国で映画撮影を行う。何も知らされずにイベントに参加したところ、日本から韓国が開放されたことを祝う式典であったりする。かなりチャレンジングというか、作者の何とでもなるというような考え方はすさまじい。

中山美穂という超有名人と結婚し、パリでの生活を送る。お互いの性格が正反対というのは本作のエッセイで初めて知った。日本で生活するのは難しいのだろう。がっつりと差別を受けたりと様々な苦労をしているが、それをしっかりとエッセイのネタにしているのがよい。

■ストーリー
伝説のバンドECHOESが、20年の沈黙を破り9月に福島にて期間限定で再結成!人の縁、夫婦の絆、困難からの克服……混迷の時代を生き抜く術を探る濃密エッセイパリ、韓国、そして、日本。生まれて今日まで、とにかく思い返せば不思議の連続であった。今年1月、日本滞在中に突然襲った慢性硬膜化血腫、そして、大手術の体験。再会した恩師や大切な人々……。年齢を重ねて、やがて見えてきたものは、人と人の縁、夫婦の深い絆、そして精神的困難を克服する様々な術。作家であり、ミュージシャンであり、映画監督でもある多彩な著者が今だから明かす、知られざる素顔。混迷の時代を生き抜く術を探る濃密エッセイ。

■感想
作者が過去に慢性硬膜化血種を患っており、大手術をしたということは初めて知った。手がしびれたり意識がもうろうとしたり、非常に恐ろしい病気だ。少し間違えると頭の話なので、死ぬ可能性もある。これが福岡の実家に帰る途中での出来事であったのは作者の運の強さだろう。

もし、フランスに帰る途中の飛行機で病気が発症したとしたら、慣れないフランスで治療をしなければならない。その場合、うまくニュアンスが伝わるかの危惧もあり、危険性は大きいのかもしれない。

ミュージシャンであり作家であり映画監督でもある。ものすごく多才であり様々なことにチャレンジしている。映画監督としてフランスで映画を撮りたいと、様々な関係者にプレゼンしたりもする。言葉の通じないフランスで映画を作るために出資者にプレゼンするなんてのは、かなりハードルが高い。

出資者たちからは、「なぜ日本で作らないのか?」と聞かれるのだが、それはもっともな話かもしれない。何の実績もない日本人の映画監督に、フランスの出資者が出資するのはかなりハードルが高い。

人と人との縁を大切にしているようだ。夫婦の絆もそうであるが、様々な困難に直面した際に、どのような精神的な強さを見せるのか。相当な修羅場をくぐっているような印象がある。世間からのやっかみや嫉妬も相当あったのだろう。

ミュージシャンが調子にのって映画監督なんかになりやがって。。。作家として売れっ子なりやがって。。。人気女優と結婚しやがって。。。本人の努力や苦労を見ずに結果だけで何かと外野がうるさく言う。それを当たり前のようにはじき返してきた作者のすごさがわかるエッセイ集だ。

強烈なインパクトのあるエッセイばかりだ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp