動乱のインテリジェンス 


 2026.4.6      イランと北朝鮮の危険度の違い 【動乱のインテリジェンス】


                     
動乱のインテリジェンス(新潮新書)【電子書籍】[ 佐藤優 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
佐藤優と手嶋龍一のインテリジェンス関係の対談。2012年当時の世界情勢を反映させた内容となっている。印象的なのは、イランとの二元外交の部分だ。総理経験者である鳩山元首相が独断先行したことで、イランに好きなようにやられてしまった。当時の野田首相が容認しなかったことを立ち話程度で容認したと思い込み突っ走る。

当人たちは成果があったと声高に叫んではいるのだが、実際にはイランによいようにやられてしまったということらしい。このあたり、国同士の機微というか、その国の立場と国際社会にどのようにアピールするかというのがある。イランが喜ぶことを鳩山元首相が行ったということは、本人がどうあれイランにうまいようにやられてしまったということだ。

■ストーリー
著者の預言どおり、世界はにわかに動乱の季節を迎えた。日本周辺海域の波はことさら高い。「北」のミサイル、空母を持った中国、混迷の中東、通貨危機とTPP、そして黄昏れゆく日米同盟――。報道レベルを数段超えたインテリジェンスで「今そこにある危機」を分析しつつ、縮みゆく日本を毅然として回復させる道筋を示す黙示録的一冊。日本最強の外交的知性がぶつかり合った、高カロリー対談。

■感想
当時の日本の立場がわかるインテリジェンスの考察にあふれている。特に東日本大震災での「トモダチ」作戦については、当時の民主党政権のドタバタぶりと、アメリカが独断先行したことによる影響が語られている。

この当時は、TPPを検討されていたということもあり、中国は盛んに日本を自分たちのアジアの経済圏に取り込もうとしていたらしい。その中で、当時の野田首相がTPPへの参加をにおわせたことで、中国が慌てふためく。このあたりの国同士の駆け引きはリアルには感じることができなかった部分だ。

サード・パーティー・ルールについては印象的だ。北朝鮮のミサイルの情報をどれだけ迅速に官邸に伝えるのか。それと共に、その情報をどうやってマスコミに伝えるのか。情報を提供してくれた側はどこまで情報を開示してもよいかをあらかじめ決めてあり、それを超えて開示する場合は、提供元に確認を取る必要がある。

それを韓国は破っていた可能性があるとのこと。確かに韓国にとって重要な情報かもしれないが、インテリジェンスのルールを破ると、次回から情報提供されない危険性があるようだ。

北朝鮮とイランのどちらが危険かというのも初めて知る分析だ。北朝鮮は自分たちの国の維持を前提としているが、イランはイスラエルを滅亡させることを大統領の公約としている。となると、アメリカからすると日本もイスラエルもどちらも重要だとしても、イスラエルを滅亡させるというイランの方を危険視するのは当然だろう。

北朝鮮が世界地図から日本を消滅させる、なんてことを言いださない限りは、北朝鮮よりもイランをアメリカが危険視するのは当然かもしれない。

当時は気づかなかった観点がわかるのは秀逸だ。



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