CURE


 2025.5.14    空の洗濯機を回し続ける奥さん【CURE】


                     
CURE 4Kデジタル修復版【Blu-ray】 [ 役所広司 ]
評価:3

■ヒトコト感想
奇妙な恐ろしさがある作品。謎の人物間宮の受け答えがいちいち相手をムカつかせる雰囲気がある。それでいて、間宮の話術に取り込まれてしまうと、瞬く間に催眠術にかけられ、そのまま操られ、同僚や家族を殺害してしまう。最終的には心理学の専門家さえ、間宮に魅了され、そのまま間宮の催眠術にかかってしまう。

事件を捜査する刑事の妻が精神的におかしくなっており、何も入っていない洗濯機をひたすら回し続ける行為が妙に恐ろしい。間宮と会話をしていると、こっちまで頭がおかしくなりそうになる。善意の教師、助けようとした警察官、医者、これらは間宮を助けようとして、間宮に取り込まれ殺人者となっている。間宮の何を考えているかわからないのらりくらりとした受け答えは強烈なインパクトがある。

■ストーリー
ある時、胸元を刃物でX字に切り刻むという、残忍な手口の連続殺人事件が発生する。それぞれの犯人はその場ですぐ逮捕されるが、動機もなく、その手口以外の共通点は全くなかった。事件に疑問を抱いた高部刑事は、友人の心理学者・佐久間の助けを借りながら、それぞれの事件を関連づけて捜査を始める。そして、記憶喪失の放浪者・間宮の存在が一連の事件の捜査上に浮かび上がる。しかし、やがて事態は思わぬ方向へと進んでいく……。

■感想
惨殺事件が発生し首元にはXの傷が深く刻まれている。それが連続してまったく関係のない人物が被害者となり、犯人も繋がりがない。事件を捜査する刑事は家に帰ると、精神に異常をきたした嫁が待っている。どこもかしこも精神的におかしな人物ばかりが登場してくるので、全体として陰鬱な雰囲気となっている。

刑事の奥さんは、空の洗濯機を回す癖がある。刑事が洗濯機を止めたとしても、またスイッチを入れる。この無意味なやりとりが最高に恐ろしい。同じレベルで会話の通じない間宮が登場し、人々に催眠をかけるシーンは妙な恐ろしさがある。

ぱっと見は記憶喪失の男のように見える間宮。善意の者たちが間宮を助けようとするのだが…。間宮は自分のことを語らず相手のことを知ろうとする。間宮と会話しているとイラつく場合がある。ただ、相手が記憶喪失だとわかっているので我慢できるのだろう。

ライターの火を間宮がつけると、その瞬間に相手は催眠状態に陥り…。催眠状態の者は自分が何をやっているのかはしっかり理解しながら、それをやることが当たり前のような気持ちで事件を起こす。

強烈に恐ろしいのは、専門家であるはずの精神科の男も間宮に取り込まれる場面だ。本人も間宮と会話するのは危険とわかっていながら、引き込まれてしまう。そして、自分に催眠がかけられ事件を起こしそうなことも理解しているので、手錠をかけて動けないようにするのだが…。

結局は自殺してしまう。間宮の他者をおちょくるような会話の数々が強烈だ。警察の本部長が名乗ってもひたすら「あんたは誰だ」と聞く。「本部長の○○、あんたは誰だ?」というその人の肩書ではなく、本質を問うような言葉が印象的だ。

間宮の不気味さが突き抜けている。



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