コロラド・キッド 他二篇 (文春文庫) [ スティーヴン・キング ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
3つの短編が収録された本作。特に印象的なのは「浮かぶゆく男」だ。バツイチの独身の40男で身長が190cm、体重120キロの男がだんだんと体重が減っていく。それも見た目は全く変わらずに体重計の針は日に日に減少していく。この現象についてのしっかりとした科学的な証明はないが、この不思議な雰囲気が良い。
そして、見た目変わらずに体重だけが減ることのメリットとデメリットがはっきり描かれている。メリットを活かしてマラソン大会で奮闘したり…。最終的には一日に減る体重を逆算して体重がゼロになる日を最後と考える。体重が一桁になるとどうなるのか?健康的な問題はないとしても、軽すぎることによる別の問題がでてくるのも面白い。
■ストーリー
「浮かびゆく男」舞台はあのキャッスルロック。ITデザイナーのバツイチ独身40男スコットは190cm、120キロはあろうかという大男だ。ところが、外見はまったく変わらないのに、体重だけが減りつづけるという不思議な現象に悩まされていた……。ホラーストーリーにもなりそうな設定から、まさかのハートウォーミング展開という、意表を突く一篇だ。
「コロラド・キッド」メイン州の小さな島の新聞社にインターンでやってきたステファニーが、ふたりの老記者ヴィンスとデイヴから聞かされる奇妙な物語――。今をさること20年前のある朝、島の海岸でごみ箱に寄りかかってこと切れていた身元不明の男の遺体が見つかる。ヴィンスとデイヴは「コロラド・キッド」と呼ばれるようになった男が、なぜ縁もゆかりもない島にやってきて命を失うことになったのかを執拗に追ったが……。
かつて『ダークタワー』シリーズのノベルティとして抽選で配布された非売品、という幻の作品が、18年の時を経て一般発売。「ライディング・ザ・ブレット」メイン州立大学に通うぼくに、ある夜電話がかかってきた。母ひとり子ひとりでぼくを育ててくれた母が倒れたというのだ。ぼくはヒッチハイクで夜を徹して病院に向かうことを決意する。ところが乗り継いだ車の運転手の様子がどうもおかしい――。
■感想
「浮かびゆく男」は面白い。見た目は190センチで120キロだが見た目が変わらず体重だけが減っていく。この不思議な症状を知り合いの医者に相談するのだが…。医者も頭を悩ませる症状だ。不思議なのはそんな体重が減少したとしても健康には一切問題ないことだ。
この男が10キロのダンベルを持つと、たちまちそのダンベルの質量もゼロになる。不思議な状態となる男が、町で新たな店を開いた女性カップルのひとりと交流をもつのだが…。ラストはマラソン大会で体重減少を逆手にとる活躍をして感動的な展開となる。
「コロラド・キッド」はひとりの男が島の海岸でゴミ箱に寄りかかって死んでいた。この男のことをコロラド・キッドと呼び、新聞社にインターンとしてやってきたステファニーが調査するという物語だ。若干ミステリアスな雰囲気はあるのだが、ミステリーという感じではない。
どうやらこの短編は過去に非売品として抽選で配布された作品らしい。そんな幻の作品を読めるということで、ファンは大喜びなのだろう。ただ非売品で希少だからといって面白いとは限らない。
「ライディング・ザ・ブレット」はヒッチハイクを行うぼくの物語だ。ヒッチハイク文化のあるアメリカでも、ヒッチハイクの危険性は浸透している。ぼくはとんでもない人物が運転する車をヒッチハイクしてしまう。死臭を最初は気のせいかと思っていたのだが、ぼくを乗せた男は死んでいる人物だった。
運転手の首に縫ったあとがついている。ぼくの恐怖はすさまじいものがある。そもそも脳梗塞で倒れた母親をお見舞いに行くためのヒッチハイクだったのだが…。
バラエティに富んだ短編だ。