チップス 下 


 2026.9.26      鷲頭は世界の権力構造すら変える可能性がある 【チップス 下】


                     
チップス(下) ハゲタカ6 [ 真山仁 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
全てのIT機器で必須となる微細半導体をめぐる世界的な争い。いわば、米中の覇権争いのカギになる物の争いとなっている。台湾の半導体メーカーであるFSCをめぐる争いが、日本の旗艦の半導体会社であるフェニックスにまで波及することになる。韓国の半導体メーカーが破綻し、それを買い取ったのが鷲頭たちになる。フェニックスは金はあるが技術力とビジョンがないために停滞している。

それを出資者である政府をたきつけ、鷲頭はまんまとフェニックスを奪い取っている。ただ、フェニックスを奪うだけが目的ではない。リスクのある半導体の工場をどのようにして立ち直らせるのか。下巻では鷲頭の各方面への手回しの良さと、米中に押し込まれ苦悩するFSCの姿が印象的だ。

■ストーリー
舞台は台湾、テーマはいま最もホットな「台湾有事」と「半導体覇権」。微細な半導体製造で世界一の技術を誇る台湾企業をめぐり、米国と中国が触手を伸ばす。そして、半導体産業の復活を狙う日本。ぶつかり合う大国の思惑に巻き込まれた鷲津政彦は、この難題をどう解くのか。

■感想
鷲頭はFSCを買おうとしているのか。上巻では手を出すのか出さないのか微妙な状態であった。下巻ではフェニックス買収への流れを一気に加速している。フェニックスは作中ではさんざんな叩かれ方をしている。

実在する日本の半導体会社をモデルにしているようだが、どうようの流れなのだろう。鷲頭は独自の戦略でフェニックスの経営者たちをまるごと入れ替えて買収することに成功している。フェニックス単体では成功しない。FSCとの連携を考えての戦略となっている。

台湾の企業であるFSCは米中の覇権争いに巻き込まれている。その中で、創業者が死に、CEOと会長が米中にそれぞれ取り込まれてたりもする。地政学的に、万が一の可能性として相手側に最先端の半導体工場を渡すことになるのなら、破壊してしまえ、というロジックになるのが恐ろしい。

そして、その可能性を恐れてFSCの幹部たちは米中にそれぞれ良い顔をしようとする。米中それぞれの国内に最新の半導体工場を作るように迫られる。特にアメリカはトランプをモデルとした大統領のごり押しがすさまじい。

結論としては鷲頭はFSCを買収しない。が、協力体制を作り上げ、最先端の工場をフェニックスの敷地内に移すというアクロバティックな手段にでる。作中では台湾よりも日本に工場を置いた方が安全としているのだが、日本も変わらないように感じられた。

FSCの未来はそこまで明るくない。逆に他国の半導体工場で同等の製品を作り出せるということで、今後はFSCは落ち込んでいくという状況が描かれている。だから、鷲頭はリスクあるFSCを買わなかったという流れだ。

世界情勢をも変えうる鷲頭の行動だ。



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