武士道シックスティーン 


 2026.10.12      女子高生の青春剣道物語 【武士道シックスティーン】


                     
武士道シックスティーン (文春文庫) [ 誉田哲也 ]
評価:3.5
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■ヒトコト感想
女子高生の青春剣道物語。剣道をテーマとした作品はなかなか珍しい。それも剣道で1対1で戦うことに対しての駆け引きをメインに、心理的な部分を描いている。剣道エリートの香織と日本舞踊から剣道に転向した早苗の青春物語となっている。印象的なのは、序盤での香織と早苗の対決だ。本来なら香織が負けるはずのない対決で、早苗が勝利する。

相手に動きをよませない日本舞踊の動きを取り入れた足さばきに翻弄された香織が、負けたことを後にまで引きずることになるのだが…。勝つことだけを第一に考える香織はまさに現代の剣豪という感じだ。対して早苗は楽しくできればよいという考え方だ。剣道は勝つことだけがすべてではない、というメッセージも込められている。

■ストーリー
宮本武蔵を心の師とする剣道エリートの香織。3歳ではじめた剣道に朝から晩まで打ち込み、負けることが大嫌いな彼女は、中学最後の大会で無名選手の早苗と対戦する。早苗に真正面からメンを決められ、負けてしまった香織。敗北の悔しさを片時も忘れられなくなってしまった。日本舞踊をやめ、中学から剣道を始めた早苗は重心を下にした柔らかな動きでみるみる成長するが、楽しさを求め勝敗には固執しない「お気楽不動心」。相反する二人が同じ高校に進学し、剣道部で再会を果たすが…。青春を剣道にかける女子二人の傑作エンターテインメント。

■感想
剣道一筋。剣道で強くなることだけを考えてきた16歳の香織。気まぐれに参加した市民の剣道大会で謎の女子高生に敗北する。そのことに香織は悩み続け、剣道の名門高校に進学することになるのだが…。全中で準優勝の香織が市民大会で負けるのは衝撃だ。

序盤の早苗の何かを超越したような動きというのは、剣の達人を彷彿とさせる流れとなっている。実は早苗自身も自分が強いことは認識しておらず、習った動きができることが楽しいというエンジョイ勢だったのが強烈だ。

香織と早苗は高校で再会し、部活を行うのだが…。ここで香織は早苗が自分が負けた相手だと気づく。早苗はそのころの実力は発揮できず、強さにムラがある。ある日には2年の強い先輩に勝ったかと思うと同級生の強くない生徒に負けたりもする。

一方で香織はその強さから団体戦の先鋒に選ばれるまでになるのだが…。香織は常に勝つことだけを考え、負けた者のことを考えない。顧問の教師は困惑し、周りを戸惑わせる行動をとる。そして、負けがこむと、自分が何のために剣道をしているのかわからなくなる。

定番かもしれないが、自分の剣道が一番だと信じていたが、その気持ちがブレると途端に剣道が手につかなくなる。そして、勝てなくなる。剣道を辞めるか?というところまで追い込まれた香織を助けたのは、早苗との対決だった。まさにこれぞ青春というような感じが良い。

宮本武蔵にあこがれ相手を斬ることしか考えなかった香織が、剣道を楽しむようになる。このシリーズは年代ごとにほか3巻ほどあるらしい。このメンバーたちがどのように成長していくのか楽しみだ。

早苗はもしかしたら達人の域に達するのかもしれない。



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