僕と世界の方程式 [ エイサ・バターフィールド ]
評価:3
■ヒトコト感想
自閉症の少年ネイサンを描いた物語。どうやらモデルとなった人物がいるらしい。ネイサンは自閉症で人とのコミュニケーションが苦手。数学の才能があり、人と接するよりも数学の世界にいる方が安心できるような人物だ。序盤のネイサンはまさにやっかいな自閉症児童というような感じだ。些細なことにこだわり、絶対に妥協することはない。
食べ物の数も必ず素数でなければならない。注文するメニューの番号も素数である必要がある。ネイサンの母親は大変だ。父親が事故死したことで、ネイサンの面倒はすべて母親が見ることになる。数学の話をネイサンにしても母親はバカだからとみもふたもないことを言うネイサン。数学オリンピックという目標と、マーティンという変わり者の数学教師と出会えたことがネイサンの救いとなっている。
■ストーリー
大好きだった父を事故で亡くし、母親や周囲に心を閉ざしてしまった少年ネイサンは、他人とのコミュニケーションが苦手な反面、数学の理解力に関しては飛び抜けた才能を持っていた。母親ジュリーは、普通の学校に適応できない息子の才能を伸ばそうと、数学教師マーティンに個人指導を依頼し、ネイサンは国際数学オリンピックのイギリス代表チームの一員に選ばれるまでになる。代表チームの台北合宿に参加したネイサンは、そこでライバルの中国チームの少女チャン・メイと出会う。彼女と共に学ぶ日々は、数学一色だったネイサンの人生をカラフルに変えていく。そして、数学オリンピック当日、ネイサンは人生最大の選択を迫られる…
■感想
自閉症児童のネイサン。一般的な人とのコミュニケーションは苦手だが、数学には特別な才能を示す。ただ、この手のタイプは世間で生活するのは大変だ。学校でいじめにあうのは想定できるだろう。母親の愛情をしっかりと理解しながらも、身体的な接触を拒んだり、数字に異常にこだわりをみせたり。
普通の人であれば妥協するような些細なことであっても、ネイサンは決して譲れない。食べ物の数は必ず素数でなければならない。自閉症独特の扱いづらさが強烈に表現されている。
同じく変わり者の数学者であるマーティンとの出会いがネイサンを変えている。多発性硬化症を抱え、かつては数学の天才と言われていたが病気のせいで大成はしなかった男。若干、マーティン自身もコミュ障的な雰囲気があるのは間違いない。
マーティンの勧めで数学オリンピックの代表合宿に参加するのだが…。そこにはネイサン以上に気難しい数学の天才たちがうようよいた。ここで中国の天才少女メイと出会い、恋をする。同室には同じく自閉症の少年もいる。
印象的なのは、イギリス代表が発表される場面だ。それまで能力的には高い少年たちばかりであったが、差がでてくる。自閉症の少年は特に特徴的な行動をとり、自分勝手で和を乱すような行動をとっていた。そして代表の最後のひと枠をネイサンに奪われてしまう。
この自閉症の少年がぽつりとつぶやいた言葉が印象的だ。自閉症だけど数学の天才だから存在意義があった。それが、数学でも負けると自分の存在意義がない。そう言って自傷するシーンが強烈に印象に残っている。
モデルとなる人物がおり、実際に数学オリンピックで銀メダルをとったことは衝撃的だ。