ブラック・ショーマンと覚醒する女たち 


 2025.2.14      人を見抜くマスターが事件を解き明かす 【ブラック・ショーマンと覚醒する女たち】


                     
ブラック・ショーマンと覚醒する女たち [ 東野圭吾 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
ブラック・ショーマンシリーズの第2弾。バー、トラップハンドのマスターであり元マジシャンである神尾が、様々な女性たちの難解な事件を解決していく。連作短編集の形とんなっている本作。姪の真世がらみで様々なお客がやってくる。神尾は人を見抜く力があり、ある女が結婚相手として男を見定めるために神尾を活用する場合もある。

印象的な作品はいくつかある。「リノベの女」での謎を解き明かした後に、また同じ関係者から「続・リノベの女」へとつながっていく。ラストの「査定する女」などは、女の気持ちを量るために、ある仕掛けを神尾が実行するのだが…。さすがにやりすぎだと感じた。すべてうまくいったからよかったものの、失敗していたらとんでもない結末になっていたはずだ。

■ストーリー
この人は人生をリノベーションするつもりだ――亡き夫から莫大な遺産を相続した女性の前に絶縁したはずの兄が現れ、「あんたは偽者だ」といいだす。女性は一笑に付すが、一部始終を聞いていた元マジシャンのマスターは驚くべき謎解きを披露する。果たして嘘をついているのはどちらなのか――。謎に包まれたバー『トラップハンド』のマスターと、彼の華麗なる魔術によって変貌を遂げていく女性たちの物語。その”マジック”は謎解きのための華麗な武器。全貌を知る時、彼女たちは何を思うか。

■感想
「リノベの女」は印象的だ。姪である真世の顧客である女は、実の兄から偽物だと言われてしまう。人の入れ替わり系の物語ではあるが、その理由が秀逸だ。偽物ということで兄から脅されるのだが…。それを神尾のアイデアで乗り切っている。

人が入れ替わるのには、裏にはとんでもなく強烈な何かが隠されている。それまでの人間関係をすべて壊してでも、他人に入れ替わる必要がある。とんでもない決断力と、そこに至るまでの強烈な葛藤の数々が描かれている。

「査定する女」は、トラップハンドに女が男を連れてやってくる。相手の男をマスターが見定めて良し悪しを決めるのだが…。他短編でもダメな男や見栄っ張りな男としてしっかりと査定していた。今回は、マスターの査定でもかなり良い男だということになり、女はその気になるのだが…。

よくあるパターンの物語ではあるが、女の気持ちを確認するというか、しっかりとした信念を確認するために行うことにしては、かなり手が込んでおり、なおかつ失敗したときのリスクが大きいように感じられた。

「続・リノベの女」は、リノベの女で人の入れ替わりを行った当事者が、さらなるトラブルに巻き込まれることになる。人の入れ替わりを行い、元の人は死んだことにしていた。死んだらすべてが終わるかと思いきや、死んだことが信じられず、まだ生きていると思い込む人物がいた場合、入れ替わった人が実際に生きているだけにその対処に困る場合がある。

強烈なインパクトがあるわけではないのだが、それぞれの人の思いと人間関係については、そう簡単にリセットできないと思わせる何かがあることは間違いない。

すさまじい観察力のあるマスターが、ちょっとした探偵役となっているシリーズだ。



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