ビヨンド・ユートピア脱北


 2026.1.28    世界一危険な国、北朝鮮【ビヨンド・ユートピア脱北】


                     
ビヨンド・ユートピア 脱北 [ マドレーヌ・ギャヴィン ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
韓国で脱北を支援する牧師の物語。実際に脱北する家族を追いかけ、その道中を撮影しているのがすさまじい。脱北がうまくいった家族を追いかけつつ、息子を脱北させようとした韓国の女性も追いかけている。息子の脱北が失敗し強制収容所にいれられている悲しみが描かれている。高齢者や小さな子供を抱えたまま、山をいくつも超えながらタイを目指す。

脱北するためには、単純に北朝鮮から韓国に直で渡ることはできないようだ。いったんは中国に入り、そこからベトナムを経由しタイへと向かう。捕まれば死が待っている命がけの逃亡劇。印象的なのは、高齢の祖母が、金正恩はすばらしい能力をもっていると崇拝している部分だ。どんな貧しい状況であっても、そこまで洗脳されているのがすさまじい。

■ストーリー
生きて、また会いたいーー。韓国で脱北者を支援するキム・ソンウン牧師の携帯電話には、日々何件もの連絡が入る。これまでに1000人以上の脱北者を手助けしてきた彼が直面する緊急のミッションは、北朝鮮から中国へ渡り、山間部で路頭に迷うロ一家の脱北だ。幼い子ども2人と80代の老婆を含めた5人もの人たちを一度に脱北させることはとてつもない危険と困難を伴う。キム牧師の指揮の下、各地に身を潜める50人ものブローカーが連携し、中国、ベトナム、ラオス、タイを経由して亡命先の韓国を目指す決死の脱出作戦が行われる――。

■感想
脱北するための生々しいブローカーとのやりとりもある。牧師はまさに命がけで脱北者を支援している。家族すべてを脱北させることの困難さが描かれており、川に溺れて死ぬ可能性もあり、途中で密入国者として狙撃される危険性もある。

カメラが追いかけた家族は脱北に成功し、韓国で幸せに暮らしている。北朝鮮で生活していた時間がいかにまやかしで辛い時間だったかを後悔している。もっと若いころに韓国に来ていれば楽しい人生を送れたと嘆いているのが印象的だ。

脱北経験者が語る北朝鮮の実情は強烈だ。幼いころからすべて洗脳されている。金正恩は正しくすばらしい能力をもっている。アメリカは悪魔のような国で、自分たちの国は天国だ。外国では多くの子供たちが食べる物がなく餓死している。

そんな状況からすれば、北朝鮮はまだマシだという理論なのだろう。例のマスゲームでの一糸乱れぬ揃った演技は、逆に北朝鮮の強烈な圧力と統制が伝わってくる。脱北した者は死刑となる。その恐ろしさを植え付けられているので、10歳にみたない子供も涙を流すというのが強烈だ。

脱北に必ずしも毎回成功するわけではない。長期の準備と綿密な計画を立てたとしても失敗する場合もある。すでに脱北済みの母親が息子を脱北させたいと牧師に依頼したのだが…。失敗した息子は収容所に入れられ、母親の親もつらい状況に追いやられている。

この強烈な現実はすさまじいインパクトがある。恐らく母親は息子に二度と会うことはできないのだろう。息子は母親に北朝鮮に戻ってきてほしいとすら思っていたようだ。詳しい内情はわからないのだが…。

世界一危険な国というのもうなずける流れだ。なぜ、いまだにこの国が存在しているのか疑問で仕方がない。



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