アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方【Blu-ray】 [ セバスチャン・スタン ]
評価:3.5
■ヒトコト感想
トランプが不動産王にどのようにして成り上がったのかが描かれている。が、本当に描きたかったことは大統領となり好き勝手にふるまうトランプの人間性がどのように作られたかを描きたかったのだろう。20代のころに出会った弁護士のロイに多大な影響を受けたのだとわかる。勝つためのルールを語るロイ。それは明らかに普通ではない。
簡単に言うと、絶対に負けを認めずひたすら攻撃し続けること。明らかに負けであっても勝ちを主張し続けるというとんでもないことだ。ただ、作中のトランプはそれを実践して成功している。若いころのトランプはイヴァンカに振り向いてもらうために必死になるかわいい部分があったのだが…。中年のトランプはまさに暴君という言葉がふさわしい存在となっている。
■ストーリー
20代のドナルド・トランプは、不動産業を営む父の会社が政府に訴えられ、破産寸前まで追い込まれていた。そんな中、トランプは政財界が集まる高級クラブで、悪名高き辣腕弁護士ロイ・コーンと出会う。大物顧客を抱え、勝つためには人の道に外れた手段を平気で選ぶ冷酷な男だ。そんなコーンがトランプを気に入り、〈勝つための3つのルール〉を伝授し服装から立ち居振る舞いまで洗練された人物へと仕立てあげる。やがてトランプはいくつもの大事業を成功させていくのだが、コーンさえ思いもよらない怪物へと変貌していく……。
■感想
ドナルド・トランプはどのような経験を継いで今の特殊な大統領となったのか。序盤のトランプは初々しさがある。自分たちが所有するアパートの家賃を徴収するため、部屋を回るのだが…。住人から邪見にされつつも、一生懸命に家賃を徴収する。
今のトランプからは想像できない真面目な青年だ。そこから父親の会社が政府に訴えられており、それを解決するために敏腕弁護士のロイと知り合いとなる。ロイがトランプの人格形成に大きな影響を与えたのは間違いない。ロイの悪徳弁護士具合がすさまじい熱量で描かれている。
なぜロイはトランプを育て協力したのだろうか。最後にはロイはトランプから手ひどい扱いを受ける。ロイの強引な手法をそのまま受け継いだトランプ。それでも若いころは純粋さを持ち合わせていたようだ。イヴァンカとの出会いと結婚するまでは純粋な恋する青年でしかない。
ロイはトランプが結婚する際に、契約書を作るなどイヴァンカにとっては無礼な対応をする。慌ててトランプはフォローするのだが…。トランプはとんとん拍子に成り上っていくが、その手法は明らかに強引で傲慢でしかない。
後半のトランプはトランプタワーを建てたりとブイブイ言わせている。ただ、早急に進めすぎたために借金がかさむことになる。ロイや周りが様々な助言をしても、聞く耳をもたないトランプ。ボケ始めた父親にサインを求めて資産を流用したり、めちゃくちゃなことをしている。
衝撃的なのは、運動はまったくしないが痩せたいということで手術で脂肪を取り除いたり、てっぺん禿げの頭皮を手術で取り除いて禿げを隠そうとする。恩人であるロイに対する最後の仕打ちはあまりにひどすぎる。
トランプの横暴の数々に目が離せないのは間違いない。