ある一生【Blu-ray】 [ シュテファン・ゴルスキー ]
評価:3
■ヒトコト感想
原作小説は未読。孤児となった少年エッガーの人生が描かれている物語だ。エッガーの幼少期は悲惨だ。遠い親戚の家に預けられ、そこでは安価な労働力としか見られていない。人間的な生活ができていない。唯一老婆だけがエッガーにやさしくしてくれる。成長したエッガーは家を出て日雇い労働者となる。
全編通して、エッガーがひたすら生きるために肉体労働をしているのがわかる。突然の雪崩に合い、両足を負傷したとしても、働き続ける。ソ連軍の捕虜となった際にも働き続ける。妻を失ったり、悲しい時期があるのだが、最後まで働き続けている。自分を虐待していた親戚と再会する場面では、ボロボロの親戚に憐れむような視線を送る。エッガーの人生を描いた物語だ。
■ストーリー
1900年頃のオーストリア・アルプス。孤児の少年アンドレアス・エッガー(イヴァン・グスタフィク)は渓谷に住む、遠い親戚クランツシュトッカー(アンドレアス・ルスト)の農場にやってきた。しかし、農場主にとって、孤児は安価な働き手に過ぎず、虐げられた彼にとっての心の支えは老婆のアーンル(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)だけだった。
彼女が亡くなると、成長したエッガー(シュテファン・ゴルスキー)を引き留めるものは何もなく、農場を出て、日雇い労働者として生計を立てる。その後、渓谷に電気と観光客をもたらすロープウェイの建設作業員になると、最愛の人マリー(ユリア・フランツ・リヒター)と出会い、山奥の木造小屋で充実した結婚生活を送り始める。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった・・・。
第二次世界大戦が勃発し、エッガーも戦地に召集されたもののソ連軍の捕虜となり、何年も経ってから、ようやく谷に戻ることができた。そして、時代は過ぎ、観光客で溢れた渓谷で、人生の終焉を迎えたエッガー(アウグスト・ツィルナー)は過去の出来事がフラッシュバックし、アルプスを目の前に立ち尽くすー。
■感想
エッガーは幼少期に孤児となり、親戚の家で家族とは別の存在、ある意味、家畜のような扱いを受ける。少しでもミスをすると激しい折檻を受ける。激しい折檻の末に足を折ってしまったりもする。とんでもない状況であることは間違いない。
たくましく成長したエッガーは、いつでも逃げ出せる状態ではあるが、まだ親戚の家にいる。それは優しくしてくれた老婆がいたからだ。その老婆が死んだ際には、そのまま親戚の家をでている。ここからはエッガーがひとりで肉体労働をしながら生活していく物語となっている。
オーストリアのアルプスで生活するエッガー。渓谷では近代化の波が押し寄せている。ロープウェーを作り、スキー客のためにリフトを作ったりもする。設備は近代化されているが、それを作るための労働力は昔ながらの人手による作業となっている。
ロープウェーの鉄塔を立てるために、人が鉄塔を引っ張り上げて建てている。木を運ぶ際には山からふもとまで丸太が流れるような道が作られ、そこに丸太が流れてくる。原始的な作業なので、事故が起きると労働者の腕がちぎれたりするのも当たり前の状況となっている。
建設現場で出会った女性のマリーと結婚するエッガーだが、雪崩でマリーは死んでしまう。同じ雪崩で両足を負傷しても、そのまま肉体労働を続けたりもする。エッガーの人生は波乱万丈だ。幼少期の虐待から始まり、一人での生活とマリーとの幸せな結婚生活。
その後の喪失。そして中年期を迎えたエッガーは新たな出会いがあり、そして、親戚と再会したりもする。決して幸せとはいえない人生ではあるのだが、ひとりの人物の濃密な人生を見せられている感じだ。
強烈な人生だ。