アラート 


 2026.4.16      今、現実に迫る日本の危機 【アラート】


                     
アラート [ 真山仁 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
日米安保でどこまでアメリカは日本を守ってくれるのか。北朝鮮のミサイル攻撃は大丈夫なのか。台湾有事の際には、日本はどのような立場になるのか。防衛費を増大させる必要があるが、そのための財源はどうするのか。非常に現在の日本を取り巻く環境にマッチした物語となっている。与党の総務会長である都倉が思い切った改革をする。

財源確保として国債を使うのが当たり前になった現在では、次の世代に借金を負わせるよりも、増税して賄うべきだと主張する。それと共に、防衛費を増大させ日本はアメリカ抜きでも自国を守れるような体制を作るべきだと語る。非常に過激な発言のように思えるが、本作の内容はフィクションだと思い込むべきではないだろう。現実に起こりそうなことばかりだ。

■ストーリー
防衛力はカネか人か? この未来はフィクションでは終わらない!防衛費倍増の財源を巡って、政権は揺れていた。予算折衝は激しさを増した。その最中、台湾の潜水艦と日本の漁船の衝突事故が。北京滞在中の都倉響子総務会長の決断は? トランプ、台湾有事――今そこにある「リアルな危機」から、この国の未来を守るのは誰か。安全保障を経済から問う圧倒的長編ポリティカル・フィクション!

■感想
中国の策略で都倉は、日中安保条約というありえない可能性を提示される。中国からしたらアメリカから日本を引きはがすことは難しいとしても、関係性にヒビを入れることができれば大成功なのだろう。ひょんなことから中国とアメリカの間に立たされ二重スパイのようなことをさせられる都倉。

中国やアメリカの先を見越した仕込みの緻密さには恐怖を感じる部分ではある。なし崩し的に防衛大臣にされてしまった都倉が、その後の日本の運命を変えるような大きな変革を行うことになる。

現在の日本の問題をリアルに描いているような気がした。アメリカはどこまで日本を守ってくれるのか。ある日突然、予算の関係で米軍はすべて日本から撤退すると宣言された場合、日本は自国を守ることができるのか。

北朝鮮のミサイルが飛んできた時に、日本はミサイルを破壊することができるのか。作中では実際に北朝鮮のミサイルが東京湾に飛んできて、タンカーに直撃する。そんなことが起きてから、日本はミサイル防衛が必須だと慌て始める。ぬるま湯につかっている国民には劇薬が必要なのだろう。

レーダー防衛の性能についての問題もある。日本に高度なレーダー技術があったとしても、日本だけがその技術を使うのはアメリカは許さない。なんだか理不尽でしかない。国同士の防衛の話となる、ビジネスではすまされない、国としての駆け引きが行われることになる。

国民の思いが防衛費のために増税もやむを得ないと考えるのは、今目の前に危機が迫っている場合のみだ。現実でも、北朝鮮のミサイルが日本に落ちた場合は、瞬く間に法改正まで行きそうだ。

リアル感がすさまじい作品だ。



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