雨の日は会えない、晴れた日は君を想う


 2026.6.17    エリートが自暴自棄になる【雨の日は会えない、晴れた日は君を想う】


                     
雨の日は会えない、晴れた日は君を想う [ ジェイク・ギレンホール ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
エリート金融マンのデイヴィスの物語だ。裕福で美しい妻がおり幸せな生活を続けていたデイヴィスは突然の交通事故で妻のジュリアを亡くしてしまう。ここからがデイヴィスの苦悩の始まりだ。何もかもが馬鹿らしくなる気持ちもわからなくもない。

偶然、事故当日に自販機でチョコバーを買った際に、自販機の不具合でチョコバーが手に入らなかった。その苦情を顧客窓口に手紙で送ったことから、顧客担当のカレンと知り合いになる。カレンの他者に共感しすぎる感情も危ういが、デイヴィスの自暴自棄になる流れが強烈だ。最初は身の回りにあるものをすべて分解しようとする。そこから破壊衝動となり、何もかもがどうでもよくなるのだろう。妙に共感できた。

■ストーリー
デイヴィス(ジェイク・ギレンホール)は出世コースに乗り、富も地位も手に入れたウォールストリートのエリート銀行員。高層タワーの上層階で、空虚な数字と向き合う味気ない日々。そんな会社へ向かういつもの朝、突然の交通事故で美しい妻を失った。しかし、一滴の涙も出ず、哀しみにさえ無感覚になっている自分に気づいたデイヴィス。彼女のことを本当に愛していたのか? 僕の心はどこにいってしまったんだ?「心の修理も車の修理も同じことだ。まず隅々まで点検して、組み立て直すんだ」義父からの言葉が引き金となり、デイヴィスは、身の回りのあらゆるものを破壊し始める。

■感想
エリート金融マンであるデイヴィス。住んでいる家は豪華で、明らかに富裕層だということがわかる。それが突然の妻の事故死により大きく変化する。義理の父親が経営する金融会社で数字のやりとりだけで大金を稼ぐ仕事。

何の生産もせず、右から左にデータを動かすだけ。通勤電車の中で顔見知りとなった男に、マットレスの販売員と嘘をついたことを後悔したりもする。妻を失ったあとのデイヴィスは明らかにおかしい。ただの喪失感だけでなく、すべてに自暴自棄になっているように見えた。

最初は周りはデイヴィスに対して腫れ物に触るような対応をとっていた。それが、デイヴィスの次第に変化していく異常行動により皆が自然とデイヴィスを避けていく。カレンと知り合いとなってからも分解癖や破壊の衝動は変わらない。

ついにはオフィスの様々な機器を分解し自宅を破壊し始める。カレンの息子クリスと交流をもつのだが…。このクリスが癖のある人物で、癖のある者同士で妙に馬が合う感じなのかもしれない。中盤以降からのデイヴィスの封じ込められた感情の発露はすさまじい。

一度破壊されたデイヴィスが感情を取り戻すまでの物語だ。それが、辛く苦しい暗い物語ではなく、破壊の中に妙なユーモアを含んでいるのが良い。クリスが自分の性向がわからず男友達との関係に悩んだり、これから先の立ち回りをデイヴィスに相談したり。

それらカレンやクリスとの交流と、妻のジュリアが実は妊娠していたこと、そしてその子供の親が自分ではないこと。様々な感情が合わさり、デイヴィスが復活していく。全編通して暗く苦しい物語ではなく、妙な明るさとユーモアがあるのが良い。

エリートが自暴自棄になるパターンの物語だ。



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