1987、ある闘いの真実


 2025.8.3    警察組織の強引さが印象的だ【1987、ある闘いの真実】


                     
1987、ある闘いの真実【Blu-ray】 [ キム・ユンソク ]
評価:3

■ヒトコト感想
本作は実話をベースに描かれているのだが…。まず驚いたのは、1987年の時点で韓国は軍事政権が政権を握っており民主化とはほど遠い日常となっている部分だ。そんな日常に耐えかねた学生たちは民主化運動を始める。1960年代の日本のように学生が韓国政府から圧力を受け、それに国中が抗うという流れだ。

ソウルの学生が警察に拷問の末に殺されてしまう。警察内部には対共産主義向けの組織があり、強引な手段で圧力をかける。真実を報道しようと必死になる新聞社。拷問殺人を糾弾する学生たち。そんな事実はないとひたすら否定し続ける警察幹部。それぞれの思惑が錯綜する。警察内部の強引さがすさまじい。刑務所内部にも入り込み、囚人の証言すら自由にさせないような感じだ。

■ストーリー
1987年、警察に連行されたソウル大学の学生が、取り調べ中に命を落とした。政府が事実をもみ消すなか、新聞社は「拷問中に死亡した」とスクープする。我慢の限界に達した人々から民主化を求める声が沸き起こり革命へと発展する。

■感想
ソウル大学の学生が警察の拷問により死亡したと噂がたつ。警察組織はひたすらその事実を隠蔽しようと動き出す。警察組織の強引さがすさまじい。マスコミに圧力をあけて真実を隠蔽する。検死の医者にも圧力をかけて闇に葬ろとする。

良心の呵責に悩まされた医者はつい、本当の死因を一部のマスコミに伝えてしまうのだが…。ここからの流れがすさまじい。警察内部では拷問殺人の件を、とかげのしっぽとして切り離そうとする。じっさいにしっぽの役割をさせられた者は、上司の裏切りに怒り心頭となる。

警察内部の所長の圧力がすさまじい。同じ警察官で、拷問殺人の犯人を逮捕にやってきた局長に対して、ぼこぼこにしたりもする。仲間を守るという強い思いはあるのかもしれないが…。最後まで仲間をかばうことができず、生贄のような形にせざるお得ないのはすさまじい。

民主化を主導する者と、その取り巻き。市井には民主化を支持する者たちが隠れて活動している。それを警察組織はアカの取り締まりとして、必死に逮捕しようとする。この手のアカの取り締まり関連は、どうしても強引な捜査になるのはどの国も同じなのかもしれない。

すべてが明るみにでるのは、刑務所の看守が入手した囚人の情報からだった。ひとつのほころびから全体に情報が拡散され、マスコミが大騒ぎする。結局、拷問殺人に関わった者たちはすべて検挙され、それらを隠蔽したとして所長も逮捕されてしまう。

それまで軍事政権の象徴でもあった大統領のサインにより、あっさりと所長はしっぽ切りをされてしまう。さんざん刑務所内部に入り込んで横暴し続けていた所長たちが刑務所に収監される。刑務所内部の人員たちが、所長を見る目が印象的だ。

日本よりも30年は遅れた民主化だ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp