前科者


 2023.1.3     保護司は大変な仕事だが、ボランティアだった【前科者】

                     
映画「前科者」【Blu-ray】 [ 岸善幸 ]
評価:3

■ヒトコト感想
保護司を描いた作品。そもそも保護司の仕組みに驚いた。国家公務員でありながらボランティアに近く、無報酬だ。犯罪者の更生を手助けする立場なのだが…。危険がないわけではない。人が避けたがる前科者とあえて深く接する仕事。有村架純が保護司の佳代を演じているのだが…。こんな保護司はありえないだろう。若い女性の保護司はないとして、仮出所した工藤などと深く関わることは危険でしかないだろう。

まっとうに更生しようとする人に寄り添う仕事。連続殺人事件が発生し、その容疑者として工藤が浮かび上がる。佳代の期待を裏切る形となる工藤。それぞれの苦悩と、なぜ佳代が保護司をしているのかが物語のメインなのだろう。それにしても本作の刑事たちのずさんぶりはすさまじい。

■ストーリー
罪を犯した者、非行のある者の更生に寄り添う国家公務員、保護司。保護司を始めて 3 年の阿川佳代(有村架純)は仕事にやりがいを感じ、様々な「前科者」のために奔走していた。そんな中、佳代が担当している物静かな工藤誠(森田剛)は更生を絵に描いたような人物で、佳代は誠が社会人として自立する日は近いと楽しみにしていた。しかし、誠は忽然と姿を消し、再び警察に追われる身に。一方その頃、連続殺人事件が発生。捜査が進むにつれ佳代の壮絶な過去や、若くして保護司という仕事を選んだ理由も次第に明らかになっていき――。

■感想
罪を犯した者の更生を助ける保護司。好き好んでやる仕事ではないことは確かだ。佳代はコンビニでバイトをしながら保護司の活動をする。驚きなのは保護司が無報酬であるということだ。てっきり、公務員として正式にフルタイムでの仕事として行っているものかと思っていたのだが…。

保護司として担当する者の更生を助ける。佳代のような若い女性がやることは、普通はありえないだろう。犯罪を犯した者であり、普通の人の感覚ならあえて絡みたくない存在。それに積極的に絡んでいくのは、相当の何かがないと難しいだろう。

佳代が担当する工藤は、絵に書いたような罪を犯したことを後悔している男だ。寡黙で多くを語らずマジメな男。生い立ちの不幸と、ちょっとしたはずみで罪を犯してしまった。すべての犯罪者が工藤のようではないという描かれ方をしているが…。

佳代が親身になることで工藤は心を開いていく。牛丼やラーメンが好きという娑婆の些細な幸せを楽しむ工藤。それが、実は弟の連続殺人事件に巻き込まれていくことになる。工藤を信頼していた佳代が信じられない思いでいるのは間違いないだろう。

なぜ佳代が保護司をやるようになったのか。普通は若い女性が選ぶ仕事ではない。元同級生である刑事から工藤が容疑者と聞き、激しく困惑する。工藤の弟が自分たちの不幸を呼び込んだ者たちへ復讐する気持ちもわからなくもない。

特にふたりの父親は若い時はろくでもないが、老人となりしょぼくれた身なりをしていると、なんだか憐みの思いが湧いてくる。罪を犯した者が更生するのが保護司のモチベーションなのだろうが…。作中でも触れられていたが、佳代自身の人生はどうなのか?と思わずにはいられない。

保護司がボランティアというは衝撃的だ。



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