ザリガニの鳴くところ


 2023.9.13    最後までしたたかな湿地の女【ザリガニの鳴くところ】

                     
ザリガニの鳴くところ [ デイジー・エドガー=ジョーンズ ]
評価:3

■ヒトコト感想
冒頭、人気者の青年チェイスが湿地帯で死体として発見された。容疑者にあがったのは沼地の娘とあだ名がつく湿地帯に住む少女カイアだった。カイアは裁判にかけられ、その間にカイアの生い立ちが語られている。カイアは両親がいなくなったとしても6歳で湿地帯で生活し続けた。そのため、最初は文字が書けない状態だった。

カイアの見た目が美しいため、男が近寄ってくるのはわかる。ただ、じめじめとした湿地帯で生活する女にどこまで本気になるのか。チェイスは事故ではなくカイアに殺されたと街の人々は考えるのだが…。状況証拠としてはカイアは無実だ。ひとりで生き抜いたカイアが最後にはどのような状態になるのか。ラストで強烈などんでん返しがある。

■ストーリー
1969年、ノースカロライナ州の湿地帯で、裕福な家庭で育ち将来を期待されていた青年の変死体が発見された。容疑をかけられたのは「ザリガニが鳴く」と言われる湿地帯でたったひとり育った、無垢な少女カイア。彼女は6歳の時に両親に見捨てられ、学校にも通わず、花、草木、魚、鳥など、湿地の自然から生きる術を学び、ひとりで生き抜いてきた。そんな彼女の世界に迷い込んだ、心優しきひとりの青年。彼との出会いをきっかけに、すべての歯車が狂い始める…。

■感想
純真無垢な少女カイア。両親がいなくなったとしても、カイを拾ってそれを店に持ち込んで売ることで生計を立てる。国の福祉課からの調査員から逃げ続け、ひとりで生活することを選んだカイア。唯一の味方は商店の夫婦だけ。

沼地に住む少女を町の人々は忌避している。ろくな教育を受けづに育っただけに、まるで野生児のようになるかと思いきや、美しい女に成長していく。そこでひとりの青年と出会い恋をするのだが…。カイアは世間知らずな割に恋に奔放なところがあるのは間違いない。

カイアは美しいので、青年が離れてからも別の男に目をつけられる。それがチェイスだ。チェイスと恋人同士になるのだが…。お決まりどおり、チェイスはカイアを遊びとしか思っていない。湿地の娘と付き合っていると知れると世間体が悪い。

町にはチェイスの婚約者がいた。それを偶然見かけたカイアは…。誰も信じることなくひとりで生きることを選ぶ。ここまでの回想では、カイアがチェイスを殺害する動機はあるように思えたのだが、それまでの刷り込みで純真無垢なカイアが殺人などするはずがないという流れとなる。

ラストの裁判で、カイアが容疑者とされる証拠全ては、ただの状況証拠でしかないと判明する。陪審員はカイアを無罪とする。観衆はカイアが昔付き合った青年と再会し幸せな結婚生活を過ごし、沼の生物の調査結果として本を出版し幸せな生活を送っていたとわかる。

これでハッピーエンドかと思いきや…。最後の最後に衝撃的な真実が明らかとなる。ひとりで生きる決意をしたカイアはやはりしたたかで強かった。カイアの見た目の純真さに周りが騙されたのだろう。

ラストに登場するカイの首飾りが衝撃的だ。



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