洋食小川 


 2024.11.6      食べ物が魅力的な日常エッセイ 【洋食小川】


                     
洋食小川 (幻冬舎文庫) [ 小川糸 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
小川糸のエッセイ集。時系列に沿って作者のエッセイを順番に読んでいるので、作者の人生の変化をそのまま感じながらエッセイを楽しむことができた。他エッセイで語られていたことが、変化しながら日時を経過し飼い犬のゆりねや、毎年ドイツのベルリンへ行くなど様々な変化を感じることができる。

作者の日常以外にも、私的な部分も描かれていたりもする。相変わらず料理や食べ物の描写は秀逸で、食べてみたくなるものばかりだ。ゆりねを連れてベルリンへ行った際の様々な経験。日本とドイツの違いとして大きいのは道路が汚いということに驚いた。ドイツがそんなに汚いというイメージはなかったので、かなり驚きの内容であることは間違いない。

■ストーリー
寒い日には体と心まで温まるじゃがいもと鱈のグラタン、春になったら芹やクレソンのし ゃぶしゃぶを。石垣島から届いたパイナップルでタルトを焼いたり、ペンギンの仕事場に トンカツの出前をすることも。一人の夜に は、スパイスを煮込んだホットワインを楽し む。大切な人、そして自分のために、洋食小川 は大忙し。台所での日々を綴ったエッセイ。

■感想
タイトルに洋食とついているように、食べ物のエッセイが多い。自分で作る料理のエッセイもあるのだが、外で食べる食事のエッセイも多い。これまでも作者のエッセイは多数出版されているので、それらを読んでいると生活は一貫している。

高価な物や、希少価値がある物に興味があるわけではない。日常のちょっとした変化や、何気ない幸せがエッセイとして描かれている。他エッセイでは初めて作者の家にきた犬のゆりねが、今では立派な家族の一員として過ごしているエッセイが続いていく。

他エッセイでも読んだことがあるのだが、毎年ベルリンへ行っているようだ。何が目的かは語られていない。ドイツ語が話せるわけではないのだが、それでもベルリンを愛しているようだ。そして、ついでにかわからないがラトビアにも必ず旅行するようだ。

それも短期の旅行ではなく、家の新聞を止めるような長期の旅行だ。今回はゆりねも参加する旅行であり、ドイツの風習から犬は家族の一員としてあらゆる場所で飼い主と行動を共にするようだ。このあたりドイツと日本の大きな違いが描かれている。

一時期、鎌倉にひとりで住んでいた作者。これまた何のためかは語られていなかった。再び鎌倉に行くことについてのエッセイも描かれている。鎌倉での生活がかなり我慢を強いられるというのは意外だった。確かに都心に比べると便利は悪いかもしれない。

それでも、鎌倉に住む人たちにとっては、こだわりがあるからそこに住んでいるのだろう。メインは台所の日々を描いたエッセイではあるが、その脇で語られている作者のプライベートの変化というのものがせない部分かもしれない。

時系列に沿って読むというのがよいのだろう。



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