2023.11.10 「岩篠つみれ」で「鰯のつみれ」か 【谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題】
谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題 [ 東川篤哉 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
谷根千を舞台にしたライトなミステリー。鰯専門の居酒屋の看板娘であるつみれが狂言回し役となり、探偵役は謎の開運グッズを売る怪運堂の店主である竹田津だ。キャラの個性としては、つみれの兄であるなめ郎が店主をしている居酒屋にやってくる客がポイントとなる。
ミステリーとしては特別な印象はない。トリックもわりと単純で、シリアスな感じはない。全体的にコメディの要素が強く、つみれがわちゃわちゃとしながら竹田津が推理を展開する。作務衣姿の竹田津が、なぜそこまで冴えた推理ができるのかは不明だ。定番として、ご近所を自転車で巡回している斎藤巡査がスローな調査をする。谷根千が地元の人にははまるのかもしれない。
■ストーリー
下町情緒あふれる谷根千にある、鰯専門の居酒屋。看板娘(?)のつみれの元に謎めいた相談が持ち込まれる。困り果てて頼った開運グッズ店の店主・竹田津は、お好み焼きを食べたり猫を構ったり、寄り道ばかりしながらも、鮮やかに謎を解き明かす!?
■感想
「足を踏まれた男」は、つみれの知り合いの女子大生である沙織が憧れの先輩の足を踏んでしまった。沙織は石を踏んだはずなのに、先輩は足を痛がった。なぜなのか。キャラクター紹介の色が強いのだが、本当に些細な日常の出来事が、その後に判明した石材店の窃盗事件へとつながる。
ミステリーというよりは、日常の謎が描かれている。竹田津が登場し、冴えた推理をする。石材店での窃盗と先輩が足を痛がったことを繋げるのにはかなり無理があるように感じられた。
「中途半端な逆さま問題」は表題作であり、本作のメインなのだろう。家の中の者が全て逆さまにされていた。上下逆さまもあれば左右逆さまもある。何も盗まれていない。犯人の目的はなんなのか。これは確かに新しいかもしれない。
目的は金庫の中にあるモノではあるのだが、それがなぜ逆さまにつながるのか。盗みに入って金庫を盗むことはできない。暗証番号を知るために犯人が仕組んだこととは…。つみれや竹田津の存在は序盤のにぎやかしの役割でしかない。
その他ライトなミステリーが2作ある。どちらもシリアスではない。殺人事件であってもどこかライトなのはキャラの印象によるところが大きいのだろう。作者のこれまでのシリーズでは魔法使いや野球好き、純喫茶の変な店主など、それなりにキャラ立ちしていた。
それらの比べると谷根千という場所以外では特別なキャラ立ちはしていない。鰯料理の居酒屋で岩篠つみれという名前だとか、開運グッズを売る店の店主の竹田津にしてもキャラがないというのが本作の微妙なところだ。
シリーズとして続くのだろうか。。
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